メンブレンを用いて生態系を展示した
「モントリオール・バイオドーム 」

カナダ・モントリオールの建築オフィス Sollertiaが専門とするのは、高性能のテキスタイルを用いた建築設計だという。同社の創業者で代表を務めるClaude Le Belは、「建築用のテキスタイルメンブレンは、従来の素材に匹敵する高性能の建築材ですが、これまでとはまったく異なるデザイン言語を実現します」と語る。

とくに張力構造は、音響や照明、天井、壁、保護屋根など、屋内外でさまざまな活用法があるとされる。さらに、メンブレンは軽量なだけでなく薄いので、環境を取り込むプロジェクトでは日差しが入る半透明のファサードとなり、なおかつ太陽光の集熱を抑えることも可能。耐久性や強度、柔軟性があり、カナダの厳しい気候にも耐えることができるそうだ。

Sollertiaはこのほど、科学博物館「モントリオール・バイオドーム」の大規模な改修工事に参加。デリケートな生態系の多様性を展示する同館では、メンブレンを用いて観覧経路やさまざまな生態系のあいだの移行スペースを形成した。

また、張力構造の技術を使って大きな波状の壁を設計し、生態系を包み込む形状を作り上げた。使用された建築用メンブレンは伸縮性がないことから、よれが起こらず、非常に正確な設計を実現した。そして、音の反響を最小限に抑えて、空間の快適さも向上させている。

Le Belは、「このプロジェクトでは、非常に複雑で有機的な壁の形状や、元の建物にあった多くの障害物の組み込みや迂回、さまざまな調整システムの開発、展示の配列の仕方など、複数の課題に同時に取り組みました」とコメント。

Sollertiaの設計ディレクターであるNathalie Lortieは、「テキスタイルメンブレンは、常設、仮設、さらには移動式の構造に合わせて設計できます」と述べ、「さまざまな幾何学的な形状に合わせて、広大な表面を覆えるようにカスタマイズ可能です。また、これにより、これまでにないような自由な建築設計ができるようになります」と語っている。End