イチゴを傷つけずに摘んでかごに入れる
米Trapticが開発した「収穫ロボット」

かつてはすべて手作業で行っていた農作物の収穫作業だが、世界の人口が増加し、栽培面積が拡大されるにしたがってそのほとんどが機械化され、迅速かつ効率的に、大量に収穫できるようになった。

とはいえ、どんな作物でも機械で収穫できるわけでなく、果物や野菜の収穫には今なお繊細な手作業が求められるとされる。その一方で、手作業での収穫には多くの労働者やコストがかかってしまうことも課題となっているようだ。特にイチゴは、十分な労働者を確保できずにそのまま腐ってしまうなど、毎年20%も収穫ロスが出てしまうそうだ。

そこで、米カリフォルニア州に拠点を置くスタートアップ Trapticが「イチゴ収穫ロボット」を開発した。この装置の特徴は、イチゴを傷つけずに摘み、なおかつしっかりと掴んでかごに入れることができるグリッパを搭載していることにある。

また、グリッパの周囲には、最先端のテクノロジーを搭載した収穫プラットフォームを配置。そこには3Dカメラやニューラルネットワーク、低コストのアクチュエータが組み込まれており、植物の構造を把握したり、熟したイチゴを検出したりできるそうだ。

たとえば、イチゴの表面にある小さな白い部分から熟しているか熟していないかを識別。ミリ単位の精度で果実の位置を特定し、過酷な環境でも迅速かつ正確に、長期間にわたって作業できるとしている。

2015年に設立された、ニューヨークやフィラデルフィアなどの大都市の郊外で垂直農業を展開するスタートアップ「Bowery Farming」のために開発され、Bowery Farmingは2月にTrapticを買収した。

最新の情報によると、Trapticのロボットは1日に10万個のイチゴが収穫可能。建物内での垂直農法用のロボットで、レタス収穫用ロボットの発展形として、コンピュータービジョンやAI、センサーを搭載している。ロボットアームはイチゴの列に沿って移動する自動運転車に取り付けられており、葉の剪定にも使用できるそうだ。End