空港でのCO2排出を削減する
航空機牽引車両「TaxiBot」

世界の航空業界では、CO2の排出削減をはじめとする環境へのさまざまな対策を迫られている。航空機の場合は、CO2が排出されるのはフライトの時だけではない。実は、滑走路上での移動も環境に負荷をかけているのだ。

こうした滑走路でのCO2、微粒子や窒素の排出量が削減しようと、オランダ・アムステルダムのスキポール空港では、2020年より「TaxiBot」と呼ばれる航空機の牽引車両2台が活躍しているという。

「TaxiBot」はイスラエルで開発された牽引車両で、搭乗ゲートから滑走路まで航空機を運ぶことができる。連結したあと、牽引は車両のドライバーが行うのではなく、パイロット自らがコックピットから操縦できるそうだ。

また、牽引している間、航空機のエンジンをオフにすることができるので、環境に負荷をかけることがない。「TaxiBot」のCO2排出量は航空機のエンジンよりも大幅に少なく、スキポール空港での実証実験では燃料を約50%削減、同空港のPolderbaan滑走路を使用した場合は最大65%の燃料節約が実現できるとしている。

実際、このPolderbaan滑走路は空港の中心部から離れたところに位置しているようで、航空機は離着陸の際に長い距離を移動しなければならない。スキポール空港は世界でもっともサスティナブルな空港になることを目指しており、航空業界のソーシャルインパクトを考えて、ヨーロッパの空港で初めて「TaxiBot」を採用した。2030年までには、空港とその周辺において陸上での活動をゼロエミッションにする目標を掲げている。End