オンラインバイオレンスを解決するための
コミュニケーションデザイン開発プロジェクト

ある調査によると、世界の女性のおよそ40%がネット上で暴力に晒されているそうだ。その数は、若い女性と少女において一段と多くなっているという。そこで、ワールド・ワイド・ウェブ財団は、ネット上で女性が直面する暴力や虐待の問題に取り組むプロジェクトを立ち上げた。

プロジェクトには、オーストラリアのデザイナー Craig Walkerと、フェミニズムやテクノロジー、アート、デザインを通してインターネットの平等性を目指す団体 Feminist Internetが参加。オンラインバイオレンスに関連する推奨事項やUXプロトタイプを作るグローバルワークショップが開催された。

たとえば、ユーザー中心の観点から「圧倒的な数の侮辱するメッセージが送られてきた。私自身を保護・防御する方法が必要だ」「ネット集団が大挙して圧力をかけてきた。自分を守り、止めさせたいが方法がわからない」といった課題が挙げられた。

ワークショップでは、政治家、ジャーナリスト、活動家、インフルエンサーなど、注目を集める女性の体験やニーズに合わせたシナリオのUXプロトタイプを作成。それぞれのシナリオには、「登場人物」「人為的な問題(human problem)」既存のものに類似した「架空のアプリ」が含まれているという。

ジェンダーに基づくオンラインバイオレンスは、デジタルユーザーエクスペリエンスを介して生じるとして、具体的でリアルなデジタルプロトタイプを開発。また、推奨事項では、女性がネット上で何を、いつ、どのように見るかについてより多くの選択肢を提供し、女性が虐待の報告をより管理・追跡しやすいものを提案した。

そして、実証したアイデアやソリューションは、2021年7月に開催された「平等を目指す全ての世代フォーラム」において、FacebookGoogleTikTokTwitterといった大手テクノロジー企業が掲げた公約のベースになった。

具体的には、投稿に関する細かい設定、シンプルでアクセスしやすいUX言語、簡単なナビゲーションやアクセスしやすいセーフティ設定、そして、女性が目にする虐待の数を積極的に減らして女性への負担を軽減する、といったことが採用されたそうだ。End