どんな表面にも貼れる
MITが開発する紙のように薄いスピーカー

▲Image:Felice Frankel

マサチューセッツ工科大学の研究チームはこのほど、紙のように薄いフィルム状のスピーカーを開発したことを発表した。いろんな表面をオーディオ装置にできる、そんな画期的なものである。

このスピーカーは手のひらサイズで、重さは10セント硬貨1枚ほど。従来のスピーカーと比べて消費する電力はわずかで、音のゆがみを最小限に抑えつつ、どんな表面に貼りつけても高品質のサウンドを出すという。

製造技術はシンプルだそうで、拡大すれば自動車の内装や部屋の壁紙となるような超薄型スピーカーも実現可能。航空機のコックピットなどノイズが大きい環境では、同じ振幅で逆位相の音を生成して相殺するアクティブノイズキャンセレーションを提供できる。

さらには、劇場やテーマパークの乗り物では立体音響を作り出すなど、没入型エンターテインメント向けにもなる。軽量かつ低電力なので、バッテリー容量が少ないスマートデバイスにも使える。

従来のスピーカーは、電流を流してコイルに磁場を生成させ、振動膜を動かして空気に振動を伝えることで音を出している。一方、このスピーカーでは、薄い圧電材料を使い、そこに電圧を加えることで空気を振動させ、音を生成させるそうだ。

また、これまでの薄膜型スピーカーは音を出すのに湾曲していなければならず、そのため自立型をしていた。さらに、こうしたものは表面に貼りつけると振動しなくなり、音が出なくなってしまうのだ。

そこで研究チームは、素材全体を振動させるのではなく、圧電材料の薄層上に小さな突起ができるようにし、これらが個々に振動するようにした。フィルムの両面はスペーサー層で覆うことで、取り付け面から突起を保護し、自由に振動させることができるとしている。End