デザインでメキシコのエコシステムをサポートする
SPACE10のプロジェクト「Pieces of Home」

▲Photo:Almendra Isabel

イケアが手がけるリサーチ・デザインラボ「SPACE10」は、新しいプロジェクト「Pieces of Home: Exploring Materials of Mexico」を公開した。

デザイナーたちのねらいは、廃棄された天然素材を活用し、より優れたデザインプロセスを作ることで、地元のエコシステムをサポートすることだという。6週間にわたり集中的にデザインリサーチと実験を行い、選択した地元の生体材料の新しい可能性と用途を検討したそうだ。

▲Photo:Almendra Isabel

Gabriel Calvilloによる「Homes for Honey」では、蜜蝋を使ってミツバチの巣箱に必要な器や出入り口を制作。「Melipona」と呼ばれるユカタンのミツバチのためのもので、マヤの人々は中空の丸太を使ってこれを2000年にわたり育ててきた。しかし、養蜂家は減少しており、生物多様性を取り戻すにこのミツバチが求められているのだ。

▲Photo:Almendra Isabel

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▲Photo:Almendra Isabel

Taina Camposが手がけた「Articles of Protection」は、廃棄されたトウモロコシの殻で作った食品の保存・輸送用の容器シリーズである。DVを受けた女性たちを支援する地元の団体と協力して、彼女たちが経済的に独立するために調理・販売するフードを入れる、非プラスチック製の容器を作った。

▲Photo:Almendra Isabel

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Bertín Lópezの「Migrating Objects」は、廃棄されたランブータンの皮を素材にしたボウルを制作。ランブータンは1950年代に東南アジアからソコヌスコ(Soconusco)の町に輸入され、地元のアイデンティティとなっている。

▲Photo:Almendra Isabel

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Karen Kerstin Poulainによる「Building with Earth」では、テペテート(tepetate)と呼ばれる土や水、籾殻、そしてわずかなエネルギーで複合材料を作り、農業廃棄物を削減しながら圧縮やひび割れに強い建材を作った。

▲Photo:Almendra Isabel

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また、Paloma Morán Palomarは「Weaving Heirlooms」において、廃棄されるタマリンドの繊維から糸を作り、伝統的な織物技術を使ってラグを作り上げた。

▲Photo:Almendra Isabel

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このプロジェクトは、場所や文化、時間のつながりのなかで、リジェネラティブな方法によって、住居や日用品をデザインしたり、作ったり、建設したりすることを模索した。そこから生まれたこれらの作品は、私たちの「明日の家」を作るために生体材料を活かす、デザイナーたちのビジョンを表現している。End