黒川紀章設計の「中銀カプセルタワービル」
3Dデジタルアーカイブ化して広く活用へ

建築家の黒川紀章が設計したメタボリズムの名建築「中銀カプセルタワービル」の解体が2022年4月より行われている。

同建築の価値を後世へ継承していくために、3次元計測技術で複雑な形状を正確に記録し、3Dデータで保存するプロジェクト「中銀カプセルタワービル 3Dデジタルアーカイブ」が進められている。

その記録には、ミリ単位で正確な距離を計測できるレーザースキャンのデータと、一眼レフカメラやドローンによって撮影した20,000枚以上の写真データを融合。実測に基づいて建物全体をスキャンすることで、実空間の情報をまるごと3次元データ化する。

平面的な写真や図面だけでは記録しきれない複雑な形状や構造の立体的な記録だけでなく、住人が工夫して暮らす中で改変した軌跡や、経年変化した建物の姿をありのままに記録している。

現在は、「中銀カプセルタワービルAR」を公開。建築をスマートフォンなどのデバイスで表示することができる。建物を上下左右様々な角度から見たり、好きなところに召喚して建物を鑑賞したりと、いつでもどこででも同建築を楽しむことが可能だ。

また、計測した3次元データは、空間へのより深い理解を促すための立体的な建築教材としての活用や、ARやVR、3Dプリンターを用いた模型製作など、多様なメディア形式で再現・活用できるようになるという。

▲3Dモデル

▲レーザースキャンデータ

▲中銀カプセルタワービルAR

プロジェクトはクラウドファンディングを行っており、3次元点群データをオープンソースとしてウェブサイトにて無償で公開し、学術研究や新たな創作活動へ繋げることを目指している。End