建築家・黒川紀章 設計の中銀カプセルタワービル
保存・再生プロジェクトでクラウドファンディングを実施中

▲中銀カプセルタワービル

クラウドファンディング・プラットフォームのMotionGalleryでは、歴史的な建物を守るためのクラウドファンディングを実施している。

まず、2021年7月28日(水)に終了した東京都世田谷区豪徳寺にある明治建築の水色の洋館「旧尾崎邸保存プロジェクト」は、憲政の神様と言われたかつての東京市長・尾崎行雄旧宅と長く言い伝えられてきた。

2020年夏に取り壊されるはずだったが、近隣住民をはじめ、呼びかけに賛同した4,000人超による署名と、本来の事業計画を断念した企業の決断により奇跡的に解体を免れた。建物を守っていくためには、最低でも1億円がかかる見込みで、目標金額の1,234万円をすでに達成している。

▲旧尾崎邸保存プロジェクト

また、解体が予定される東京・銀座の中銀カプセルタワービルのカプセルを取り外し、再活用するプロジェクトもスタートしている。

建築家・黒川紀章が設計した中銀カプセルタワービルでは、解体により、メタボリズム思想の代表的建物が失われてしまう危機にあった。

そこで、少しでも後世にこの思想を継承できるようにと、同ビルの保存・再生プロジェクトが買受企業と協議をおこない、複数カプセル(最大139カプセル)を取得する合意を取り付けた。

▲1972年竣工当時のオリジナルの内装を残したカプセル

▲埼玉県立近代美術館に展示されるカプセル (『中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟』より)

カプセルタワー解体時には、これらのカプセルを取り外し、黒川紀章建築都市設計事務所の協力により再生。美術館へ寄贈したり、宿泊施設などで「泊まれるカプセル」として再活用することを目指している。

また、現在の建物を記録する書籍「中銀カプセルタワーの記録(仮)」の制作も開始しており、2022年2月の発売を目標に草思社から出版される予定となっている。

オーナーや住人に協力により、140カプセル中50以上のカプセルの撮影が終了しているほか、各カプセルの実測調査も必要と考えて、複数大学の建築系研究室の協力により、すでに20数カプセルを終えているそうだ。End