積水化学×富士通 ワークショップから生まれた
世界が違って見える傘「SEKISUI umbrella」

暑い日々が続くなか、外出先で困るのが突然の雨である。自社を訪問した来客に、ぱっと広げると少しだけ世界が違って見える、そんな貸出傘を提供できたらという想いを形にしたプロジェクトを積水化学が発表した。

この傘は「SEKISUI umbrella」。積水化学富士通 デザインセンター エクスペリエンスデザイン部が共同で開発したもので、大阪府三島郡にある積水化学の水無瀬イノベーションセンターにて、来訪者へ雨の日限定で貸し出しを予定しているという。

「世界にまた新しい世界を。」という積水化学のスローガンを体現した「SEKISUI umbrella」はオーロラフィルム製。内側にこのスローガンを印字しており、傘をさしたとき、スローガンを見ながら、色のついた世界を楽しむことができるのだ。

▲「SEKISUI umbrella」

今回のプロジェクトは、積水化学から年齢も職種もバラバラな約10名が集まり、そこに富士通のデザイナーも加わって、異業種・異職種という異色だらけのメンバーでスタート。両社がデザイン思考のインプットから、アイデア出し、ブラッシュアップ、プレゼンテーションまで、延べ4か月にわたるワークショップを実施した。

選ばれたテーマは「積水化学をコミュニケートする」のみ。これは、積水化学が抱える課題である、「ユーザーから一番遠い製造業の川上にいる積水化学とその技術を、いかにして知ってもらうか」に関わるものである。

また、今回のワークショップは、コロナ禍によりすべてオンラインで実施。富士通のデザイナーとしては、通常行うプロトタイピングがオンラインではできないという悩みもあったが、積水化学側に内緒でこれを行い、試作品をサプライズで送ったという。これにより、アウトプットのイメージを伝え、プロジェクトの存在感を示すことに成功した。

▲再生プラスチック名刺

▲ワークの中で出たアイディアを簡易的にプロトタイピング。

積水化学は、この異色の化学反応から、従来の延長ではない新規事業のタネやコミュニケーションツールが生まれたと語る。プロジェクト終了後の参加者へのアンケートでは、「デザインマインド」の数値が32%も向上したとの回答も得られたそうで、こうしたデザインマインドの定着を目指して第2弾プロジェクトも推進中だそうだ。End