図式的な強い形を取り入れた都市型施設
ライムデザインによる「BBQ SPOT KASUGAI」

▲© Catwork

名古屋市近郊の春日井市に、新しい都市型BBQ施設「BBQ SPOT KASUGAI」が完成し、2022年11月1日にプレオープンを果たした。篠元貴之が率いるライムデザインが設計を手がけた。

敷地は高速の春日井ICの出入り口から5分程度の場所に位置する。面積は4,000㎡弱で、もとは車両の解体工事場があった場所だという。

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娯楽施設をつくる際、いわゆる「夢の国」のように世界観を作り込むという方法がよく見られる。一方、BBQ施設などは、海や川の近く、森林の中などの風光明媚な環境に置かれることが多い。敷地の隣には高圧電線の鉄塔があり、世界観を作り込むには不向きな環境なことから、工業的な要素があっても成立する郊外の都市型BBQとしての在り方を模索した。

配置計画には図式的な強い形を取り入れることで、周辺要素に左右されない自律的な施設となることを目指した。主動線として大きな円を配置し、その中にA・B・Cの3つの円を設け、それぞれにテーブルを5卓ずつ設置。五角形に配置をすることで、向かい合う先には相手のテーブルがない構成となっている。

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さらに、A・B・Cのサークルを繋ぐように子供用の人工芝のサークルを配置。1年を通して、草の色の変わる芝生と変わらない人工芝で差異をつけている。また、オープン後はドッグパークやキッズパークなどの拡張と展開の可能性を踏まえ、主動線の円には外接するウッドチップの円弧を設けている。

各サークルを見切る素材と施設名サインには、解体場だったときから敷地内で利用していた耐火レンガを利用。これにより、敷地の重ねた歴史を継承することにも意識したそうで、サイン計画でもタイヤ形状の転がった軌跡のようなフォントとした。

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ライムデザインは、「車輪の輪を意識しつつ、施設全体に円環の要素を取り入れたことで、強い自律性を獲得できたと考えている」とコメントしている。End