ベーシックカラーに原点回帰
より共生を意識した長く愛されるデザインへ

TOKYO AUTO SALON 2023展示車両一部

2023年1月13日(金)から15日(日)まで幕張メッセで開催された「TOKYO AUTO SALON 2023」をレポートします。今年は昨年と同様にリアルとオンライン(ライブ配信)で開催。出展社数は減少しましたが、出展車両数・ブース数・参加人数は増加し、海外からの来場者も多く、全盛期とまではいかないものの賑わいのある展示会となっていました。

カスタムトレンドはベーシックカラーへ

展示車両全体に共通する傾向として、ホワイト、ベージュ、シルバーなど、高明度のベーシックカラーを多く見かけました。

上段左から:LEXUS RZ SPORT CONCEPT / PRIUS ELEGANT ICE STYLE / RAV4 PHEV SPORTY Package
下段左から:Keeper CROWN CROSSOVER / KRUISE KR-RZ34RR / ZR-V e:HEV MUGEN Custom Concept / T-ART MODEL Y MATTE WHITE

右:DELICA D:5 SNOW SURVIVOR ホワイトマットカラーが光輝く。

高明度ベーシックカラーのなかでも特に目立ったのがエフェクトホワイト。マットからセミマットの滑らかな質感と繊細な輝きをもつ、優美なカラーです。純粋な白さのなかに、芯の強さを感じます。

アウトドアカスタムトレンドはライトグレイッシュ、オフニュートラルカラーへ

上段左から:ELEMO-L / DELICA MINI × Coleman / RAV4 PHEV OFFROAD Package / eK X EV Smooth × Tough
下段左から:SPACIA BASE / RX OUTDOOR CONCEPT / CROWN OUTDOOR CONCEPT / MINICAB MiEV B-Leisure Style Ⅱ

注目度の高い、さまざまなアウトドアシーンに対応したカスタマイズ車両も、ベーシックカラーを基調としたカラーリングが多く見られました。昨年は、中・明彩度で色味の強いナチュラルカラーやアースカラーが目立っていましたが、今期はより高明度・低彩度のライトグレイッシュトーンや明るいベージュなどのオフニュートラルカラーに変化していることがわかります。質感はソリッドライクが多く、色味のない光輝材を使用しており、間近で見るとふわっと柔らかい光を放っていました。

周囲環境に溶け込み馴染むような、光や空気感を含んだ、自然で明るい色合いが心地よさと穏やかな優しさを感じさせます。

アクセントカラー・素材感はより周囲と共生へ

左から:DELICA MINI × Coleman / SERENA Highway STAR ACCESSORY CONCEPT / CIVIC TYPE R MUGEN Concept
すっと溶け入るように外板色へと馴染むグラデーションがアクセント。

上段:CROSSTREK BOOST GEAR CONCEPT / DELICA MINI × Coleman
車体全体に繊細なヘアライン模様を施し、マットな質感を表現。ラプター塗装でざらざらとした質感を付与しアクティブな印象を与えている。
下段左から:CROWN OUTDOOR CONCEPT / RAV4 PHEV OFFROAD Package / little G. TRADITIONAL
経年変化で自然に発生した錆をあえて再現している。

車体を彩るラインアクセントは外板色から馴染むようなグラデーションを使い、スタイリングを強調し、スピード感や上質さを表現していました。素材には岩肌のように凹凸が強調されているものや、研磨前の繊細な金属、経年変化を感じる錆など表情のバリエーションは豊か。

ボディーカラーがおとなしい分、アクセントカラーや素材の質感の変化を効果的に取り入れることで、個性を控えめに主張しながらも周囲環境と共生したカラーリングを実現させています。

ずっと長く愛車とともに楽しむことで環境問題へ取り組む

左:AE86 BEV Concept / AE86 H2 Concept
オリジナルの状態を残しつつ、動力源を水素エンジン、バッテリーEVへと改造している。内装は中古シートをリユースし、リサイクル素材を使用。
右: CUBE Refreshed & Retro CONCEPT
生産終了となったCUBE中古車をカスタマイズ。傷ついた内外装パーツも新品へ。旧車再生プロジェクトの一環。

最後に、今年度のオートサロンでは、ヒストリックモデルを新しい姿で見ることができた点も特徴のひとつでした。名車へのオマージュや、レトロ仕様にカスタマイズされたクルマをこれまでも度々目にすることはありましたが、元の状態を極力残したままコンバージョンされていることに新鮮さを感じます。このようなカスタマイズがより現実的で身近なものになれば、旧車や中古車の楽しみ方の幅がさらに広がり、愛車を長く乗り続けることで、廃車を減らし、環境問題への取り組みになるのではないでしょうか。

会場では、カーボンニュートラル実現に向けた、次世代モビリティの展示会「AUTO SALON TECH 2023」も開催されていました。廃番となった補給部品を復刻し、純正パーツとして再販売するプロジェクトなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを身近に体験できる内容でした。スポーツカーから軽自動車、EV、アウトドアシーンまで幅広いカスタマイズは、オーソドックスで堅実なものに変化していることがわかります。

不安定な社会状況が続くなか、気持ちを切り替えて原点に戻り、環境との共生を模索する動きは、あらゆる業界やトレンドにも多く見られます。私たちも前向きに前へ進んでいこうとする人々の想いや社会の姿勢に目を向け、周囲の環境と共生し長く愛される定番カラーの企画に取り組んできたいと思います。End