設計集団VUILDと建築の民主化を目指す
香川県・小豆島の「オリーヴの森」

ショップ・コミュニケーションスペース「The GATE LOUNGE」の完成イメージ

香川県・小豆島でオリーブの栽培・研究開発・製造・販売を手がける小豆島ヘルシーランドは、複合施設「オリーヴの森」を2023年7月にグランドオープンする。

「オリーヴの森」とは、小豆島からオリーブオイルを用いた化粧品とオリーブのある暮らしを提案する同社ブランドの総称で、これまで農園内にあるシンボルツリー「樹齢千年のオリーヴ大樹」やオープンスペース「The TERRACE」が来場者を迎え入れてきた。

シンボルツリー「樹齢千年のオリーヴ大樹」

オープンスペースの「The TERRACE」

今回、そのシンボルツリーの周囲に、コミュニケーションスペースや宿泊棟、エステサロン、サウナを新設。その開発において、「森を切り開くのではなく、島の恵みを使い循環させるかたちでつくりたい」という考えのもと、デジタルテクノロジーを駆使して建築産業の変革を目指す設計集団 VUILD(ヴィルド)をパートナーに招聘した。彼らは、誰もが大工や建築家になれるような環境づくりに尽力するなど「建築の民主化」を掲げて活動している。

宿泊棟「The CABIN」の完成イメージ

「The CABIN」の内観イメージ

エステサロン「The SPA」

これまで離島で木造建築を建てるには、製材した木材を島外から輸送するのが一般的だった。建設費がかさみ、CO2排出量や輸送エネルギーも多く必要となるが、小豆島内に森林はあっても、木材乾燥設備が存在しなかった。今回は、小豆島の森林から丸太のヒノキを切り出し、施主自らが運搬して、樹皮を剥いだ。そして、オリーブ栽培で使用するビニールハウスを木材乾燥設備に転用して、課題解決を図った。

木材を運び入れ、このあと皮剥ぎの工程へ

オリーブ栽培用のビニールハウスを転用して木材を乾燥

施主たちによる木材の塗装。VUILD代表取締役の秋吉浩気は「⾃分たちでやってみようというのは簡単だが、実⾏するのは難しい」と語る

乾燥させた木材は、VUILDが輸入するリーズナブルな3D木材加工機「ShopBot(ショップボット)」で製材するなど、主たる建材を自分たちでつくり出した。また、土台となる基礎に小豆島産の石材を使用するなど、建設費だけでなく、CO2排出量や輸送エネルギーの抑制にも成功している。

施主自らが木材を加工するのは、建築の地産地消にもつながる

施主、建築士、島内の工務店との共同作業

基礎には小豆島・灘山の花崗岩を使用

VUILD代表取締役の秋吉浩気は「今までの建築では考えられないプロセスの変⾰をしているわけです。⾃分たちでやってみようというのは簡単ですが、実⾏するのは難しい。それを⼩⾖島ヘルシーランドの⼈たちは本当にやってしまうのがすごいと思います」と語っている。本プロジェクトはオリーブのある暮らしや小豆島の魅力とともに、建築の民主化や地産地消といった多くの示唆に富んでいる。End


建設中の「The GATE LOUNGE」 Photo by VUILD