「ITOMACHI HOTEL 0」

日本で初めてゼロエネルギーを実現するホテル「ITOMACHI HOTEL 0（ゼロ）」が愛媛県西条市にオープンした。

建物用途別のエネルギー消費量において、ホテルは飲食店に次いで床面積あたりの電力使用量が多い。同ホテルは、大屋根全体に設置した太陽光パネルにより、実質的に電力エネルギーを消費しない「ゼロエネルギー」を実現し、自然環境に負荷をかけない持続可能な観光と宿泊体験を提供している。

ゼロエネルギーの仕組みがひと目で理解できるインフォグラフィックスイメージ。

2階建てのRECEPTION CAFE棟・HOTEL棟と１階建てのVILLA棟で構成されるホテルの建築設計を手がけたのは、建築家の隈 研吾。施設の背後にそびえる石鎚山と建物の大屋根の凸凹が重なり、風景に溶け込むようなおおらかなデザインとなっている。

館内のインテリアとランドスケープデザインは、東京を拠点にする建築設計事務所 Dugout Architectsが担当。同市でみられる自噴井「うちぬき」をイメージした中庭の水場や愛媛県で採れる淡いグリーンが特徴の「伊予青石」を使った床タイルやカーテンなど、水が清らかな西条の風土をモチーフにしたデザインが随所に見られる。

自噴井「うちぬき」をイメージした中庭の水場。

さらに、木質由来の再生可能な非可食バイオマスを使用したTarkettの再生塩ビシートやジーンズの端切れを活用したSTELAPOPの天板、再生ガラスを活用したベンチなど、館内を構成するインテリアやマテリアルも環境に配慮したものが使用されている。

「RECEPTION CAFE棟」

「HOTEL棟の客室」

また、宿泊客が同ホテルのゼロエネルギーの仕組みをひと目で理解できるように、インフォグラフィックスやエネルギー循環を学べる体験ツアーなどを用意。知的好奇心を刺激しながらエネルギー消費への新たな気づきを与えてくれる。