能登・珠洲市の豊かな文化とアートが融合する
「奥能登国際芸術祭2023」開幕

アレクサンドル・コンスタンチーノフ『珠洲街道五十三次』
Photo by Kichiro Okamura

能登半島の最先端に位置する石川県珠洲市全域を舞台に、14の国と地域から59組のアーティストが参加する「奥能登国際芸術祭2023」が、2023年11月12日(日)まで開催されている。

2017年にスタートし、今年で3回目を迎える同芸術祭では、独自の自然や歴史、祭、食文化などをもつ珠洲市の10エリアで、各地の特徴を捉えた作品を屋内外で見ることができる。

大谷エリア

蛸島エリア

若山エリア

日本海の荒波で侵食された岩礁がある大谷エリアでは、塩田千春(アーティスト)のインスタレーション「時を運ぶ船」が展示されている。作品をとおして古代から連綿とつづく珠洲の塩づくりの技術を守り伝えてきた人びとの歴史と記憶を紡ぎ伝える。

塩田千春『時を運ぶ船』
©JASPAR,Tokyo,2023 and Chiharu Shiota Photo by Kichiro Okamura

さらに、旧珠洲市立西部小学校の体育館を全面的に改修した、珠洲の文化の保存と活用を行う拠点「スズ・シアター・ミュージアム」では、珠洲市内の家々に眠っていた生活用具の数々を一堂に集め、民俗・人類学的視点から紹介。気鋭のアーティストたちがそれらの生活用具に新たな命を吹き込み、土地の物語を結晶化させた作品を展示している。また、同施設のレストラン・ショップの設計は坂茂(建築家)が手がけた。圧縮した杉の木を用いた構造体が特徴だ。

スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」
photo by Keizo Kioku

坂茂「レストラン・ショップ」(イメージ画像)

漁師町の蛸島エリアでは、2015年に廃線した、のと鉄道能登線の終着駅蛸島駅にドイツの彫刻家トピアス・レーベルガーによるインスタレーション「Something Else is Possible/なにか他にできる」を展示。線路跡に置かれたカラフルなフレームは蛸島駅に向かって渦を巻くように広がり、地域の過去から現在、未来とときの流れを旅するかのように視界の変化を楽しむことができる。

トビアス・レーベルガー『Something Else is Possible/なにか他にできる』
Photo by Kichiro Okamura

田中泯『場踊り』
Photo by 平間 至「村のドン・キホーテ」(東京)2020年

浅葉克己(アートディレクター)『石の卓球台第3号』
Photo by Kichiro Okamura

また、同施設のロゴやグッズのデザインは、クリエイティブユニット KIGIによるもの。光の動きを意識しながら線を走らせるようなロゴにも注目だ。

「奥能登国際芸術祭2023」ロゴ

芸術祭に足を運べば、能登の文化や魅力を五感で感じることのできる特別な体験ができるだろう。End

奥能登国際芸術祭2023

会期
2023年9月23日(土・祝)~11月12日(日)
※毎週木曜休館日
会場
石川県珠洲市全域
詳細
https://oku-noto.jp/ja/index.html