2023年度グッドデザイン大賞
千葉県八千代市の高齢者施設「52間の縁側」が受賞

老人デイサービスセンター「52間の縁側」

オールフォアワン山﨑健太郎デザインワークショップによる千葉県八千代市の老人デイサービスセンター「52間の縁側」が2023年度のグッドデザイン大賞を受賞した。

グッドデザイン大賞は、その年にグッドデザイン賞を受賞したすべての受賞対象のなかから、最も優れたデザインに贈られる賞である。今年度は、応募された5,447件の審査対象から1,548件がノミネート。そこから大賞候補のファイナリスト5件が選ばれ、10月25日(水)にプレゼンテーションや投票を経て大賞が選出された。

「52間の縁側」は、地域の人が気軽に立ち寄れる、縁側のような老人デイサービスセンターである。高齢者から子どもまで地域住民の居場所となり、困ったときに地域で互いに助け合える、従来のデイサービスの型にはまらない福祉の地域拠点として利用されている。

細長い敷地には奥行き2.5間の縁側のような一直線の床を設け、メインストラクチャーとなる木造架構の下には開かれた縁側が広がる。そこに「カフェ・工房」「高齢者が過ごすリビング」「はなれのような座敷と浴室」の3つの機能が備えられている。

受賞したオールフォアワン代表の石井英寿氏は「さまざまな面で効率化や利便性が求められている時代で、高齢者が人として尊厳をもって生きられるための場が必要と考えてこの施設をつくりました。昔は、高齢者とさまざまな世代の人が日常のなかで触れ合うことができました。いまの社会から失われつつあるこのような光景をこの場を通じて取り戻すことで、高齢者だけでなく誰もが幸せに生きられる社会を目指したいです」とコメントを寄せている。

オールフォアワン代表 石井英寿氏

大賞の審査員からは「お年寄りがサポートされるだけでなく子どもを見守ったり、子どもが大人の手伝いをしたりと、昔は当たり前にあったであろう風景が日常的に展開される様子がイメージできる。長い縁側と広い屋根下空間がそのコンセプトを見事に体現させ、実際の状況を誘発させている」と「52間の縁側」のデザインを高く評価する声が挙がった。End