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2024.01.15 12:00
近年はさまざまな分野でCO2排出量削減の取り組みが盛んだ。物流業界では、化石燃料で動くトラックなどの自動車から、鉄道や船舶といったより環境負荷の小さい貨物輸送手段への転換(モーダルシフト)が進められている。
とくに船舶は、人や貨物の運搬だけではなく、人々が旅を楽しむための観光船としても利用されるため、環境負荷の低減という社会課題やツーリズムといった経済活動を両立できる輸送手段として注目を集めているという。
このような海洋資源の持続的な利用を通じた経済活動を「ブルーエコノミー」と呼ぶ。これを体現する船舶が、日本初のLNG(液化天然ガス)燃料で運航するフェリー「さんふらわあ」だ。
天然ガスをマイナス162度まで冷却し液体にしたLNGは、石炭や石油などに比べCO2の排出量が少ない燃料であり、液化により容積が気体の時に比べて600分の1程度となるため、大量の海上輸送が可能となる。さらに、船でよく見られた黒煙は出さず、ほぼ水蒸気※である透明な煙しか排出しないなど、温室効果ガスの排出の大幅な削減を実現している。
また、大阪・南港と大分・別府港を結ぶ「さんふらわあ」の定期便では、昼間に瀬戸内海の景観を楽しむクルーズを実施。バルコニー付きのスイートをはじめとする多様な船室、広々としたアトリウム、海を眺める展望大浴場など船内施設も充実しており、従来のフェリーにありがちな雑魚寝で時間を持て余すということもない。
環境にやさしいLNG船は、黒煙がたなびくかつての船舶のイメージを一新するとともに、海に人を集め、さらには経済を活性化するはずだ。「さんふらわあ」では、ブルーエコノミーであるという安心感のもとに観光が楽しめるのである。