東京オートサロン2024
足し算と引き算のバランスでカスタマイズの定義と魅力を再認識

千葉・千葉市の東京幕張メッセで2024年1月12日(金)から14日(日)に開催されたカスタムカーの祭典「TOKYO AUTO SALON 2024」(以下、TAS2024)のトピックスをレポートします。

メリハリある無彩色コンビネーションと新鮮なイエローバリエーション

昨年に引き続き白・グレー・黒の無彩色が人気カラーでしたが、今年は無彩色のなかでも明度や質感のコントラストを活かして、フレームラインを強調したり、色味がなくとも賑やかにトータルコーディネートをしている車体が印象的でした。

ヘアライン×コントラスト(左上)、カーボンファイバーのボンネット×コントラスト(右上)、艶感グラデーション×コントラスト(中央)

有彩色ではイエロー系が多く、なかでもベージュとイエローの中間くらいの落ち着きのあるイエローが小型車から大型車にまで使われており、従来のオートサロンでは見られなかった色域で新鮮な印象を受けました。

上段:彩度の高いイエロー塗装がされた車体
下段左から3台目まで:落ち着いた印象のイエロー塗装がされた車体。
下段右から2台目まで:ツートーン塗装がされている車体。

主張とさりげなさが共存、カスタマイズの再定義

一方で、華やかな装いも少しずつリバイバル。高輝度、色変化、メッキ、彫刻等、各々に個性を放っていました。オンラインではなく実物に触れられる機会が戻り、手触りや車体形状と合わせて色を見ることで驚きや高揚感を表現したいという動向がうかがえます。

左からスワロフスキー、超輝度、色変化、ゴールドクロムメッキ、彫刻が特徴的なクルマ。

材料の特徴と相反する加工を用いることで新たな魅力をひきだしていた引き算のデザインをご紹介します。鮮やかで大胆に表現されることが多かった色変化や高輝度表現が低彩度色に使用され、一見ベーシックな色が個性的な印象が加わっていました。強い輝きにあえてマットクリヤーが施されており、粒子の存在感は残しながらも燻された金属のような無垢な表情が印象的でした。

色変化×ホワイトマット塗装がされている車体(左)と超輝度粒子×マットクリヤー塗装がされている車体。

また、昨年も多く見られたヘアラインやラプター塗装(凸凹の大きいマット調)は、部分使いからより広範囲に適用されている兆しを感じましたが、その多くは落ち着いた明彩度カラーをベースとしていました。

ヘアラインをダークトーン塗装している車体(左)とラプターをペールトーン塗装している車体。

このように全体の調和を意識しながらも個性を付与している“さりげない主張”のCMFデザインはTAS2022頃から見られていましたが、今年は従来の“潔い主張”のどちらも存在し、幅広いユーザーの嗜好性にマッチするカーラインナップであったと感じました。

また、TAS2022の会場にはTOKYO OUTDOOR SHOWが隣接、TAS2023ではAUTO SALON TECHの展示スペースがありましたが、今回は大々的なイベントスペースは設けられておらず、メインの展示に全力を注いでいました。TASは自分らしい車を所有するユーザーにとってシェアカーやサブスクでは実現できない高揚感を与えてくれるイベントです。筆者も人の心をポジティブに動かすことができる“カラーデザイン”の役割と使命を再認識させられました。みなさまも来年のTOKYO AUTO SALONに足を運んでみてはいかがでしょうか。