サッカーなどのライブ配信と選手育成のためのAIカメラ
「ベオカム3」

スポーツファンにとって、試合のライブ中継を観ることは何よりの楽しみと言える。提供手段がテレビ放送しかなかった時代には、プロチームの限られた試合のみがその恩恵にあずかれたが、インターネットの動画配信サービスが普及した今では、アマチュアのスポーツクラブなども気軽にライブストリーミングを行えるようになった。

特にサッカーのジュニアリーグなどでは、試合に同行できない選手の家族が、どこからでも子どもの活躍を応援できるという点が大いに評価されている。しかし、アマチュアやセミプロのチームでは撮影のための専門家を雇うことが難しいため、ほとんど定点観測のようにフィールド全体を映し続ける退屈な映像になることも少なくない。

イギリスに本社を置くベオは、この問題を、AIを活用したカメラシステムの「ベオカム3」によって解決。さらに、試合中の個々の選手の動きや得点への貢献のデータを自動で収集・分析することで、弱点を補い長所を伸ばす指導を行うためのサポートツールとしての機能も充実させ、プレイヤーの育成にも役立てられるようにした。

数メートルの三脚の上に設置されるベオカム3は、高い位置からフィールドを見下ろすような全景の撮影を行うが、AIによってボールの動きのあるエリアを自動でリアルタイムに切り出して配信できるため、視聴者はハイライトシーンを見逃すことなく試合を楽しめる。チームの運営者にとっては、後から選手ごとのパフォーマンスを検証でき、アドバイスに活かせるだけでなく、将来の試合のメンバー構成やフォーメーションを考えるための洞察も得られることが最大のメリットだ。

こうした特性から、1チーム15メンバー対象のスタータープラン(月額39ポンド)などのサブスクリプションで提供されるベオのサービスは、サッカーのみならず、ラグビーやバスケットボールのチームにも採用され、すでに日本でもセレッソ大阪やFC市川ガイナーズなどに導入されている。End