NAO IWAMATSU
新作コレクション「Echoes of the Past」発表

インダストリアルデザイナーのNAO IWAMATSU(岩松直明)は、ミラノサローネ2025のサローネサテリテにて、新作家具・照明のコレクション「Echoes of the Past」を発表した。

岩松は「Narrative Minimalism(語りかけるミニマリズム)」をテーマに、独自のアプローチと緻密に設計されたインダストリアルデザインで作品を発表してきた。今回の「Echoes of the Past」では、時を超えて受け継がれてきた合理性に基づく伝統工芸の職人技や、西洋と日本の伝統的な建築のディテールおよびアナロジーを引用。現代のプロダクトに求められる、長く使いつづけられる構造と時代を超越した彫刻的魅力の両立を模索した。

「ALBA」 素材:和紙、竹、スチール、LED
Photos by Ryoukan Abe

展示のメインとなった「ALBA」は、京都で代々神社仏閣などの京提灯を手がけている小嶋商店とともに制作したペンダントライトとフロアライト。すり鉢形状が合わさった和紙のリングが特徴であり、空間を柔らかな光で包み込む。LED光源にしかできない構造を用いることで、クラフトと照明の新たな融合を目指した。

フロアライト「SHAKU」 素材:スチール、アルミニウム、LED

ペンダントライト「BELLS」 素材:ガラス(手吹き)、アルミニウム、木

さらに、「光を注ぐ」というコンセプトのもと、柄杓(ひしゃく)の伝統的な構造から着想を得たフロアライト「SHAKU」や、厚みのあるガラスボトルの底を通して拡散する柔らかな光を再現したペンダントライト「BELLS」といった照明作品を制作。

スタッキングスツール「CORNICE」 素材:チーク

また、西洋建築の装飾的なコーニスと日本の寺社建築の天井に見られる連続した梁構造からインスピレーションを得た、細い木材の端材を組み合わせたエレガントなスタッキングスツール「CORNICE」や、ふっくらとした水差しの注ぎ口を花瓶の佇まいに落とし込んだジャグ&ベース「PUFF JUG」を発表した。5つの新作を通じて、サローネサテリテで新たなクラフトマシップのあり方を示した岩松の今後の創作活動に期待が高まる。End

ジャグ&ベース「PUFF JUG」 素材:セラミック