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2025.06.10 14:00
デジタルの世界を飛び出し、インタラクションデザイナーの深津貴之氏と訪ねるリアルワールドの体当たり訪問記。アナログとデジタル、人間とAI、過去と未来。それぞれの場を、回を重ねるごとに往復しながら、現場主義で「これからの創造性」を考えるシリーズです。
国内最大級の弁護士・法律ポータルサイトを展開する、弁護士ドットコム。2025年2月、AI技術の戦略的活用とプロダクト開発の加速化を図るべく、深津貴之が同社のCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)に就任した。期待される役割は、UI/UXの改善によるユーザー体験の向上と、AI技術を駆使したリーガルテックの可能性の開拓だ。
今回は連載の特別編として、生成AIと同社独自のリーガルデータベースの組み合わせによる「リーガルブレイン構想」を掲げる、弁護士ドットコムの元榮太一郎CEOとの対談を企画。テーマは「法」「AI」「デザイン」。異分野のかけ合わせにより、どんな化学反応が生まれるだろうか。
AIで生成した現在の法律サービスのイメージ。「現状のリーガルは、複雑怪奇で迷路のよう。この迷路を突破できる人はほとんどいない」(深津)。
リーガルの世界をリデザインしたい
元榮 深津さんが私たちのビジネスに参加してくれたのは、今から10年前でした。上場して初めての新規事業として、2015年に電子契約サービス「クラウドサイン」をリリースするのですが、その際に「UI/UXに優れたプロダクトにしたい」というコンセプトを深津さんが丁寧に汲んでくれました。おかげで次々と競合が出るなかでも初速がとても良かったし、グッドデザイン賞を受賞するなど、デザイン界からも評価されました。
深津 自分も会社を立ち上げたばかりで、まだ実績もそれほどないなか声をかけてもらえたことに感謝していました。最初にクラウドサインの企画をいただいたとき、このプロダクトは実際に使う人、お金を払う人、決裁する人、すべてが異なると思いました。だから「いきなりUIを設計するのではなく、サービスのあり方をちゃんと考えましょう」というディスカッションから始めたのです。そうした最初の地点から提案させてもらえたのは、僕らとしても大きな経験になりました。