NEWS | 見本市・展示会
2025.07.23 13:21
メゾン・エ・オブジェ 2025年9月展 メインビジュアル
毎年1月と9月にパリで開催される、インテリアやデザインデコレーション、ライフスタイル分野の展示会「メゾン・エ・オブジェ」は、SAFI(フランス工芸家組合とRXフランスの系列会社)が主催し、これまで30年にわたって、デザイン業界の国際的な交流の場としての役割を果たしてきた。
今年の9月展は2025年9月4日から9月8日までパリ・ノール・ヴィルパント見本市会場で行われ、この9月展から、大幅なリニューアルを実施。
住まいとその装飾は切っても切り離せない相補的関係
メゾン・エ・オブジェは、住まいとその装飾は、切っても切り離すことのできない緊密な関係にあることに着目し、「インテリア」と「それを彩るもの」というふたつの軸を設けている。それらは、空間を構築する基盤となるものと、現代性を重視した装飾とも言い換えることができるかもしれない。この理論に基づいて、一貫性のある展示会を年2回開催することで、出会いや交流を促し、業界のニーズに応え、相乗効果を高めたいと考えている。
今回のリニューアルにより、9月展はモノやインテリアと使い手の関係を絶えずアップデートするような、新しいものや若き才能に注目。自由な発想で空間を再構築する、大胆で実験的なデザインの世界を探求する。1月展はデザインの分野において、ノウハウやイノベーションで世界をリードするパリの存在感を高め、ブランドのパワー、職人技、伝統、現代性といったさまざまな要素を融合させるという。
9月展のアーティスティックディレクターに、アメリ・ピシャールを起用
9月展では、リニューアルを象徴として、アーティスティックディレクターにファッション業界で先駆的な存在であるAmélie Pichard(アメリ・ピシャール)を起用する。ピシャールは会場内で「WELCOME HOME」をテーマにインスタレーションを手がけるとともに、作品はメインビジュアルにも使用されている。
若いデザイナーに対して、「自分らしくあれ。ほかの人の席はすでに埋まっているのだから」と語りかけるアメリ・ピシャール。
メインビジュアルに映る作品は、陶芸家 Blumen(ブルーメン)とのコラボレーションによって、職人技とテクノロジーの融合を通じて生まれた。そのプロセスは、ピシャールが一目惚れしたブルーメンの陶芸作品をもとに、AIを使って連想ゲームのようにイメージを膨らませ、そのイメージからブルーメンが陶芸作品に仕上げるという手法でつくられている。完成した作品は、「ティーポットのような家」あるいは「家のようなティーポット」という、未だ完成途上のようなユニークなオブジェに仕上がった。ピシャールは、この作品を通して「伝統と革新は対立するものではなく、補完し合うことができる」ことを伝えている。
多種多様な若き才能との出会い
また 、リニューアルの変更点として、よりスムーズな体験を促すために、セクターおよび会場構成を一新し、9月展は6つのセクターを4つのホールで展示する。テーブルウェアからキッチンの新しいアイデアに出会える「Cook&Share」(9月展のみ)、アイデア豊かなデコレーションに特化した「Decor & Design」、職人の技術や素材を称賛する「Craft – métiers d’art」、ウェルビーイングや香りのアイテムを展開する「Fragrance & Wellness」、ファッションとデザインが出会う場所「Fashion & Accessories」、ギフトやキッズアイテムなど、売り場を彩るユニークな提案する「Gift & Play」に再構成される。
「Decor & Design」セクター内の新エリア「Design District」では、若手デザイナーやスタートアップに特化した3つのプログラムを実施する。ひとつ目は、毎年選出国を変え、若手デザイナーにスポットを当てる「Rising Talent Awards」。今年はドイツから、7組のデザイナーが選ばれ作品を展示する。ふたつ目の「Future On Stage」では、審査会で選ばれた設立3年未満の3社が、自社の革新性と創造性に富んだ製品を紹介する。3つ目の「Maison&Objet presents the “Factory” Spaces」では、過去のパリ・デザイン・ウィーク・ファクトリーで注目された若手ブランドに注目。これは若手の成長を応援するためのビジネスプラットフォームとしての役割を持つという。
Rising Talent Awardsに選出されたFriedrich Gerlachと、Julia Huhnholzによる「Biocement」
© DR
Rising Talent Awardsに選出されたGerlach & Heiligによる「Traditional Heritage」
© Kyra&Lenn
Rising Talent Awardsに選出されたMoritz Walterによる「Hotspot」
© DR
Rising Talent Awardsに選出されたHaus Ottoによる「Traktor Chair」
© Julia Sang Nguyen
これら3つのプログラムに加え、アコーホテルズによって創設された、建築やインテリアデザインを学ぶ学生を対象とした「Accor Design Awards」の授賞式も開かれる。多種多様な若き才能と出会うことができるのもメゾン・エ・オブジェの大きな魅力だ。
街中を舞台とした、15回目となるパリ・デザイン・ウィーク
メゾン・エ・オブジェと並行して、パリ市内では、9月4日から13日まで、一般に開かれたイベントとして「パリ・デザイン・ウィーク」が開催される。今回は15回目の節目となり、リニューアルするメゾン・エ・オブジェと共鳴しながら「REGENERATION 再生」をテーマに、375を超える市内各所の会場で、展示やインスタレーション、エクスクルーシブイベントが繰り広げられる。マレ、サン=ジェルマン=デ=プレ、オペラ、バスティーユといったクリエイティブな主要地区にある、ギャラリーやコンセプトストア、ショールーム、職人のアトリエ、大手メゾンを巡りながら、デザインの世界を間近で触れることができる。
街中にパリ・デザイン・ウィークのフラッグが掲げられた2023年の様子。
© D.R.
2024年にパリ歴史図書館で行われた展示「Village Palace」。
©Grégoiresevaz
なかでも、9月4日から8日まで実施される、130人を超える若手デザイナーや新進気鋭のクリエイターが参加する「Paris Design Week Factory」は、革新的なプロジェクトが集められた必見の展示となる。
2024年の「Paris Design Week Factory」の様子。コレクティヴ、出版、クラフト、中国という4つのテーマ展が開催された。
©Grégoiresevaz
メゾン・エ・オブジェは、変化し続ける市場のニーズやプロフェッショナルの期待に応えるべく、 世界中の若い才能や最新のトレンドを取り上げるだけではなく、ファッション業界からディレクターを招聘するなど、異なる分野とも積極的にコラボレーションし、インテリアの新たな可能性を提示している。30年の実績をもつメゾン・エ・オブジェが新たなステージへと踏み出す、今年の9月展にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
メゾン・エ・オブジェ・パリ 2025年9月展
- 会期
- 2025年9月4日(木)〜8日(月)
- 会場
- パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
- 詳細
- https://www.maison-objet.com/en/paris
- 問い合わせ
- メゾン・エ・オブジェ日本総代理店/株式会社デアイ
E-mail: mo-japon@deai-co.com