MEMBERSHIP | グラフィック
2025.10.03 15:51
今アメリカを中心に斬新なフォントデザインで注目を浴びる「タイプ・オブ・フィーリング」は、アートディレクターのジェシカ・ウォルシュが2024年に立ち上げた新たなタイプファウンドリーだ。ニューヨークを拠点に、アップルやネットフリックスなどをクライアントに持つクリエイティブエージェンシーも率いているウォルシュ。気鋭のデザイナーとして彼女が生み出すグラフィックデザインは、感情に訴えかける大胆で挑発的なビジュアル表現にその特徴がある。「感情の書体」と銘打つフォントコレクションについて、ウォルシュに取材した。
何かを感じさせるからこそ際立つ
「タイポグラフィは常にブランドにとって最も特徴的な資産のひとつになり得ると信じてきました。大量配布のためにデザインするのではなく、ニッチでありながら汎用性も備え、そして“何かを感じさせる”からこそ際立つ書体をつくりたいと思ったのです」。
ローリング・ストーンズやエアロスミスらのCDジャケットなどを手がけてきたグラフィックデザイナー、ステファン・サグマイスターとともに立ち上げたデザインファーム「サグマイスター・アンド・ウォルシュ」から独立。自身のビジョンを実現することを目的に、クリエイティブエージェンシー「アンドウォルシュ」を立ち上げた彼女はそう語る。同社は、機能的なデザインを生み出すだけではなく、クライアントがその焦点を当てるオーディエンスと感情的なつながりを築くことにフォーカスしているという。
アップルやネットフリックス、トゥウィッチといった大手企業やスタートアップから、コンバースなど長い歴史を持つブランドまで、広範なクライアントの広告ビジュアルをはじめ、製品パッケージ、UI、ウェブのデザインを担ってきたアンドウォルシュ。そのなかで、感情と独自性に対するこだわりを「誰でも手に取れる小売向けコレクションに広げたい」と考えた結果、同社とは別に彼女が立ち上げたのがタイプファウンドリー「タイプ・オブ・フィーリング」だ。