カリモク家具、木が生きてきた時間に触れる展示
「Traces of Life ― 生きものが残した木のかたち」

カリモク家具は、クリエイティブディレクターの辰野しずかとともに、展覧会「Traces of Life ― 生きものが残した木のかたち」を12月11日(木)から2026年1月27日(火)までKarimoku Commons Tokyoで開催する。

本展は、辰野が初めて木材が育つ森に入り、生きた木々と向き合った体験に端を発する。虫食い跡、節、曲がり、変色──これまで「欠点」と見なされてきた痕跡を、木が過ごしてきた時間の記憶として捉え直し、その美しさをデザインによって可視化する試みだ。これは、長年にわたり多様な木材の価値を探り続けてきたカリモク家具の姿勢とも共鳴するものである。

Photo Credit: Masaki Ogawa

展示は、木の個性を「直感的に味わうゾーン」と「背景を知るゾーン」の2部構成。入口には、辰野とカリモク家具が共同制作した立体オブジェが展示される。フラットな板材では見えにくい木の質感を多面的な造形によって浮かび上がらせ、素材が持つ固有の表情を直感的に捉えることができる。続くゾーンでは、素材それぞれの特徴や背景を、サンプルやグラフィックを通して紹介。木を素材として見つめ直す視点を来場者に投げかける。

特筆すべきは、1本の木から生まれる「A材」と「ユニーク材(U材)」を対比する展示だ。A材は節が少なく木目が整った家具製作の主材。一方U材は虫食いや曲がり、変色など、環境と共に生きてきた痕跡が濃い木材を指す。同じ樹種でありながら異なる個性を持つ両者を半々で組み合わせたオブジェは、木の多様性とその美しさを改めて伝えてくれる。

辰野は、オブジェに用途を与えず“完結させない造形”を選んだ。木材そのものの魅力を損なわず、来場者が「この木を使ってみたい」と想像を広げられるよう、余白のある見せ方を意図した。「ぜひ、木に宿る美しさや、自然がつくり上げたかたちを感じ、使い方を想像してみてください」とメッセージを残している。

自然が刻んだ痕跡を欠点ではなく個性として見つめ直す本展は、木と向き合う新たな視点を提示するとともに、未来の創造へとつながるインスピレーションの源泉となるだろう。End

Traces of Life -生きものが残した木のかたち-

会期
2025年12月11日(木) ~ 2026年1月27日(火) 12:00 – 18:00 ※12月11日(木)は一般入場 15:00 ~
休館日
毎週日曜日、2025年12月26日(金) – 2026年1月4日(日)は冬季休業 ※1月25日(日)は開館
会場
Karimoku Commons Tokyo
(東京都港区西麻布2-22-5)
詳細
https://commons.karimoku.com/news/detail/20251125/