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1時間前
大阪・関西万博2025で台湾のIT企業、玉山デジタルテックが出展するパビリオン「TECH WORLD」。円筒型のスクリーンや560台のタブレットに映し出されるのは、豊かに躍動する自然や生き物の映像だ。これらのビジュアルとキネティックデザインを手がけたのは台湾のクリエイティブスタジオ、Bito。静的なグラフィックから動的なモーショングラフィックスまで自在に行き来する彼らの手法や挑戦について、代表のケン・リウ(劉 耕名)に聞いた。

台湾政府観光局のリブランディングの映像。「WAVES OF WONDER」のテーマのもと、台湾の自然が描く波形の曲線に人々のワクワク感を込めた。
デザインフィーリングから考える
台北を拠点にするクリエイティブスタジオBitoは、モーション、インタラクティブ、イマーシブ・エクスペリエンス、インスタレーション、グラフィックと、幅広い表現手段を横断している。Bitoを率いるケン・リウ(劉 耕名)は、どの表現であっても制作のスタートは「デザインフィーリング」を考えることだと言う。
「見る人が何を感じるのか。楽しさ、恐れ、空腹。なんであれ、ここで体験するのはどんなものか。それを捉えてストーリーをつくります」。こう言ってしまうと当たり前のように思えるかもしれないが、Bitoの特徴はストーリーが動きとして推移していく時間を通して、刻々と観客との緻密な関係性を生み出していくことだ。「すべての動きは空間をつくり出していると言えます。ただ見るのではなく、その空間の中でストーリーを体験してほしい。それがフィーリングであり、ストーリーを生きるということです」。
Bitoが2024年に手がけた大規模なキャンペーン・プロジェクトに、台湾政府観光局のリブランディングがある。テーマは「WAVES OF WONDER」。訳すと「押し寄せる驚嘆」などとなるだろうが、実際に表そうとしている感覚はそれ以上に広がりを持っている。重なる稜線を描く山々、そこを走る道路のうねり、打ち寄せる海の波など、台湾の自然風景を根底に置きながら、そこにリズミカルな楽しみを込めたのだ。












