フォスター+パートナーズ設計「テチョ国際空港」がカンボジアに開港

テチョ国際空港 ©️Nigel Young / Foster + Partners

イギリスの建築事務所フォスター+パートナーズが設計した「テチョ国際空港」が、カンボジア・プノンペン南部に開港した。第1期となる中央ヘッドハウスと北側ピアは2025年9月に運用を開始し、南側ピアは2030年の開業を予定している。

建物は中央のヘッドハウスを中心に、左右へ翼型の2本のピアが伸びる構成で、旅客の移動距離を最適化している。屋根はそれぞれ36mスパンの「構造樹」と呼ばれる支柱で支えられたモジュール式で、中央部で高さが最大となる起伏のある形状は、カンボジアの宮殿や寺院を想起させる。

モジュール式の屋根は、それぞれ36mスパンの「構造樹」と呼ばれる支柱で支えられている。©️Nikolai Malsch / Foster + Partners

軽量な鉄骨グリッドシェル構造の下には、伝統的なかご編みにヒントを得た格子状の天井が吊り下げられ、日中は180個の天窓と合わせて自然光を空間全体に取り込む。夜間は天井の層や「構造樹」に組み込まれた温かみのある照明システムが、落ち着いた雰囲気を演出する。

180個の天窓が「構造樹」の周囲に戦略的に配置され、自然光を空間の奥深くまで届けながら、均等に分散させている。©️Krzysztof Szymanski / Foster + Partners

ターミナル内には、カンボジア原産のロムドゥオルの木が中央吹き抜けに立ち、地元のヤシや花々が旅客の動線に沿って配置されている。200点の手工芸彫刻とブロンズ製の仏像が、同国の歴史とアイデンティティを表現している。

建物の軽量鉄骨グリッドシェル構造の下に吊り下げられた格子状の天井が、日中を通じて広大なターミナル空間に自然光を取り込む。©️Nigel Young / Foster + Partners

張り出した屋根は搭乗エリアと内部空間に日陰を提供し、機械換気の必要性を低減。天窓による自然採光により、日中の人工照明も削減する。同事務所が手がけたマスタープランでは、ターミナルを中心とした空港都市の形成が構想されており、将来的には高速鉄道との接続も計画されている。End

単一の大屋根が、車寄せから搭乗エリアまで覆っている。©️Nigel Young / Foster + Partners