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小林純子・設計事務所ゴンドラ 編著『心に響く空間 深呼吸するトイレ』

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『心に響く空間 深呼吸するトイレ』
 小林純子・設計事務所ゴンドラ 編著 (弘文堂 2,940円)

きれいなだけのトイレには意味がない。“きれい”は完成直後から汚れとの闘いになる。そうではなくて、トイレのあり方・役割を見直すことで、“人のためになるトイレ”がつくれるのではないか。基本的な快適さと、それを超えた、人間としての豊かさに繋がるトイレ……。

20年以上にわたって、数々のトイレを設計し、世の中のトイレに対する認識を変えてきた筆者が、「商業施設」「学校」「街」「駅」という4つの場面と「ユニバーサルデザイン」という観点で、代表的な事例を通して、それぞれに求められるトイレについて空語る。

どの事例も背景にあるのは「ユーザー」についての詳細な調査と、それに基づく「どんな空間であるべきか?」という念入りな掘り起こし。例えば、学校でなぜうんちをがまんするのか、あなたにとってトイレはどんな場所ですか、トイレだけのために来店したことがありますか、有料化の是非……。

「新宿西口思い出横丁」の商店振興組合など、建築主や専門家との「トイレをめぐる対話」も面白く、トイレへの認識を改めさせられる1冊。