REPORT | テクノロジー
2009.10.29 16:32
このクルマが何であるか、読者の方ならきっとご存知ですよね? そう、慶應義塾大学 環境情報学部教授である清水 浩先生が開発した電気自動車の「Ellica(エリーカ)」です。ポルシェを凌駕する加速性能を持つといわれる近未来のクルマは、既存の自動車の仕組みを応用するのではなく、「次世代のスタンダードをゼロからつくる」という思いから生まれています。
清水先生が開発するEVの最大の特徴は、駆動するモーターをタイヤに組み込んだ「インホイールモーター」という仕組みです。これが、車体にモーターを積んで走らせる他のEVとの決定的な違いです。駆動する力をホイールに直接伝達できるため、エネルギーのロスが少なく、効率の面でも理にかなったシステムだと清水先生は言います。
清水先生はこの8月にはベネッセコーポレーションの社長である福武聡一郎氏らとともに、EVに関するテクノロジーを幅広く外部に提供していくためのベンチャー会社を設立。基幹技術のオープンソース化によって、多様な業種の参入を後押しします。
清水先生とのインタビューの詳細については、年末に発売となるvol.143号で詳しくお伝えしますので、どうぞお楽しみに。Ellica(EV)の次に当たるプロジェクトも紹介する予定です。
清水先生の近著『脱「ひとり勝ち」文明論』(現在、第二版だそうです)がミシマ社より刊行されています。メーカーが利権を競うようにしてシノギを削るEV開発とは対極の、今ふうに言うところの「友愛」精神に基づくEV開発の思いが述べられています。文字も大きく、柔らかい語り口調の文体なので、サクッと読めます。そして、多くのことを考えさせられます。