「TECHTILE#3」展は、2010年2月26日(金)~28日(日)の3日間の開催

▲「人肌コレクション」(白土寛和 + 宮下高明 + 野々村美宗 + 前野隆司)

Technology(技術)とTactile(触覚の)という言葉を組み合わせた造語をタイトルに冠する「TECHTILE(テクタイル)」展。展覧会の開催に先立ち行われたワークショップの概要を先日このページでお伝えしましたが、今回は開催が迫った本展および展示作品の一部を紹介します。

展覧会は大きく3つのパートによって構成されます。その1つ、「触覚の再現」では、「こし」「はり」「ぬめり」といった風合いを体現できるテキスタイルサンプルに直に触れながら、各風合いごとに「こし3点!」といった点数評価を体験者自らが行うというものです。指先で感じた感覚と、言葉の持つイメージをつなぎ合わせていくような心理ゲームを通じて、触覚というものを意識的に捉えようという試みともいえるでしょう。

▲「Addictive-Handle」(小島雄一郎+橋本悠希+梶本裕之)

そこにテクノロジーを介在させた表現の1つが、小島雄一郎、橋本悠希、梶本裕之の3氏による「Addictive Handle」です。外観からもわかるように、これは鉛筆削りの感触を伝えるデバイスです。鉛筆を削る際に起こる振動を、デバイスに組み込んだモーターで忠実に再現。関係者によれば「ああ、確かに」といった納得度の高い仕上がりになっているとのこと。

マテリアルから感触だけを取り出し、別のマテリアルに移植する……そんな感触のコピー& ペーストともいえる試みを主体とするのが、「感触の創造」というパートです。昆陽雅司氏らによって製作された「Vib-Touch : 指先で感じるインタラクション」はその代表例となります。ポータブルゲーム機にようなデバイスから送られる各種の振動が、画面を指先でなぞる際の感覚(抵抗感覚)であったり微妙な力の感覚(重量感覚)をリアルに再現します。

▲「Vib-Touch : 指先で感じるインタラクション」(昆陽雅司+土屋翔+岡本正吾+山内敬大+石井優希)

これら2つのパートが、今までの触体験を何らかのかたちで再生、あるいは再現する試みとするなら、「触覚の創造」のパートは文字通り、私たちが経験したことのない触覚を擬似的につくり出すことを目指しています。「スベスベ」「モチモチ」「カサカサ」といった艶かしい肌の感触を最新の人工皮膚技術を活用し創造して見せるのが、白土寛和氏や宮下高明氏らによる「人肌コレクション」です。「赤ちゃんのようなモチモチ肌」であったり、「洗い流した後のスベスベ感」といった表現が直に伝わってくるような肌の見本帳は、ボディケア製品の販促ツールにも応用できるかもしれません。でも、自分の肌と比べるのはちょっと怖いかも。

人は触覚に対してとても敏感でありながら、そのことを意識的に捉えている人は案外少ないのではないでしょうか。「TECHTILE」展は、そんなことを気づかされると同時に、触覚を強く意識することで、新たな創造の可能性を指し示す貴重な機会ともいえます。会期中には触覚表現をテーマとした2つのワークショップも開催予定。参加人数には限りがありますので、興味のある方は、こちらからお申し込みください。

TECHTILE #3 「触覚のリアリティ」

会期:2010年2月26日(金)~28日(日) 11:00~19:00(26日のみ17:00~21:00まで)
出展者:小島雄一郎+橋本悠希+梶本裕之 / 野見山雄太+矢島佳澄+木村孝基+山岡潤一+鎌田洋平+大島 遼+筧 康明 / 昆陽雅司+土屋翔+岡本正吾+山内敬大+石井優希 / 南澤孝太+舘暲 / 大建工業株式会社 / カトーテック株式会社 / 白土寛和 + 宮下高明 + 野々村美宗 + 前野隆司 / plaplax
空間構成:NOSIGNER
会場:K-Gallery(東京都港区西麻布3-13-15 パロマプラザB2、Tel. 03-3746-3605)
入場料:無料
問い合わせ先:Tel. 0466-49-3638(TECHTILE #3実行委員会)