建築家ジュリアン・デ・スメドによるレクチャーがINAX GINZAにて開催

病院からホテル、動物園、スキージャンプ台と国際的な幅広い活動とその独創的な建築で知られる若手建築家、JDSアーキテクツを率いるジュリアン・デ・スメドによるレクチャーが3月31日、INAX GINZAで開催された。

コペンハーゲンの集合住宅(VM HOUSING, 2005)では、バルコニーを舳先のような三角形にし、各戸からの眺望を確保、個別にデザインした結果、本来4タイプにまとめるはずの予定が合計76ものタイプができたという。

平凡な建築物はつくりたくないというデ・スメドは、常にそこに何があるのか、何にチャレンジできるかを考えている。

代表作と言えるオスロのスキージャンプ台プロジェクトでは、高い山もなく、雪がほとんど降らないベルギー出身の建築家ということで当初地元の設計事務所からの反対の声もあったそうだが、同じく雪の降らない国出身の建築家としてオーストリアのスキージャンプ台を設計したザハ・ハディドの成功例をあげて説得をし、色々な専門家と協力する事でジャンプ台特有の厳しい条件をクリア、見事完成させた。パリのエッフェル塔のような街のアイコンとなるべくブランディング的な視点からジャンプ台の頂上付近には展望台を併設している。柱による補強を入れることなく世界でいちばん長いカンチレバーを実現した。

まだ日本でのプロジェクトがないデ・スメドだが「できないことはないと思っている」との言葉にいま注目を集める若手建築家としての勢いと自信を感じた。今後の活躍に期待したい。

昨年末に出版された作品集『AGENDA』。『AGENDA』は、リーマンブラザーズが倒産した日、2008 年9 月15 日からの1 年を様々なニュースと一緒に日付つきの時系列でJDSアーキテクトでのプロジェクトや出来事、アーティスト・政治家・キュレーター・作家・経済学者・ジャーナリスト・ディベロッパー・教育者そして建築家との対談やエッセイが収められた新しい形の作品集。様々な危機的状況にある現代における若手建築家としての状況やチャレンジが示された刺激的な1 冊となっている。