「ハンス・コパー展ーー20世紀陶芸の革新」
パナソニック電工 汐留ミュージアムで開催中

▲球と平面を組み合わせた、第三部の代表作の1つ「ポット」。ショーケースには実験段階の有機EL照明が用いられている

昨年9月から日本各地を巡回中の「ハンス・コパー展ーー20世紀陶芸の革新」が、東京のパナソニック電工 汐留ミュージアムで開かれている。

▲轆轤で挽いたパーツを組み合わせる「合接」という技法はコパー作品の特徴の1つ

イギリスで活動した陶芸家、ルーシー・リーの助手だったことで知られるコパー(1920〜1981)だが、100点を超える作品が一堂に集う個展は日本で初めて。芸術と社会をつなぐモダニストといわれた姿や、独特なフォルムから感じ取れる造形力など、陶芸に携わる人以外にとっても大きな衝撃を受ける展覧会だ。

▲第二部の作品「コベントリー大聖堂の燭台のためのマケット」

▲ヨークの学校の壁面をデザインした「ウォール・ディスク」(写真左)。1962年の完成以来、ずっと学校の壁を飾っている現物を展覧会のために外し移設したという

コパーが制作拠点を4回にわたって移したことと、作風の変遷がおよそ一致しているとして、展示は4つの部屋で構成されている。リーの工房アルビオン・ミューズで作陶を開始した第一部。戦後の芸術復興の機運が高まるなか、建築家や工業デザイナーと協業しながら空間的な作品を遺した第二部。第三部はロンドンに戻り、次々と新たなフォルムを生み出した円熟期。そして、病と闘いながら「キクラデス・フォーム」シリーズを完成させた第四部となる。

▲第四部の作品「キクラデス・フォーム」シリーズ

パナソニック電工の企業ミュージアムであるだけに、各構成ごとに照明設計を変えている。なかでも現在開発中の有機EL照明パネルを用いた第三部は、柔らかい光が上下から注ぎ、見る角度によって趣の異なるコパーの作品を際立たせているようだ。


ハンス・コパー展ーー20世紀陶芸の革新

会期 6月26日(土)~9月5日(日)まで(途中、作品の展示替えあり)
   10:00~18:00、月曜休館

会場 パナソニック電工 汐留ミュージアム

主催 パナソニック電工 汐留ミュージアム、日本経済新聞社

*9月から岐阜県現代陶芸美術館、12月から岩手県立美術館、2011年4月から静岡市美術館に巡回予定。