「2010年度アジアデザイン賞」2009年度受賞者 吉村靖孝さんに聞く
アジアデザイン賞の価値

Nowhere but Hayama

現在作品募集中の「アジアデザイン賞(DFAA: Design for Asia Award)」についてのレポートの4回目。同賞はプロダクトやコミュニケーションデザインといった市場で量販展開されるものだけでなく、「環境デザイン」というカテゴリーで住宅や商業施設、公共施設などの作品を募集しています。

今回は昨年度の「環境デザイン」カテゴリーで金賞を受賞した吉村靖孝建築設計事務所の吉村靖孝さんに、同賞参加の経緯や感想を聞きました。

ーーどのようなきっかけでアジアデザイン賞に応募されたのですか?

アジアという括りでデザインを評価しようという姿勢に共感を覚えました。アジアはかつて世界の工場だったわけですが、これからは大きな市場になるだけでなく、情報発信源にもなるでしょう。そういった可能性に満ちた場所で、自分の作品が評価に耐えるのかどうか、力試しをしたいと考えたのです。また、隈 研吾さんの「藤家旅館」(08年)、手塚貴晴さん・手塚由比さんの「ふじようちえん」(07年)など、過去に日本人建築家の受賞者がいることを知り、親近感を覚えた部分もあったと思います。

Nowhere but Hayama

ーー受賞後に日本以外のアジアからどのような反響がありましたか。

まだ、直接的にアジア地域での仕事の依頼には結びついていませんが、香港の建築・インテリア雑誌「Perspective」の「40under40」にノミネートされたほか、雑誌や書籍への掲載依頼が数多くありました。国内でも打ち合わせ先で受賞についてお祝いの言葉を頂戴したりして、日本でも認知度が高まっていることを感じました。

Nowhere but Hayama

ーー受賞作品の「Nowhere but Hayama」は神奈川県・葉山にある宿泊施設ですが、そのコンセプトを教えてください。

築80年の日本家屋の改装です。既存建物の特徴である2辺の開放的な縁側と重い瓦屋根など外観を残したまま構造補強することが求められました。そのため家の内側に、独立した4棟の新たな家を挿入し、それを耐震補強コアとしました。1週間単位の賃貸という日本では珍しい運用方法と合わせ、古い保養地の別荘を生き返らせる一連の取り組みとして評価いただいたと考えています。

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アジアデザイン賞(DFAA: Design for Asia Award)募集概要

主催:香港デザインセンター

応募対象分野:下記18カテゴリーのデザイン。
●アパレル及びアクセサリー・デザイン
・日常ファッション:メンズウェア、レディスウェア、子供服
・機能性ファッション:スポーツウェア、防護服
・ファッション雑貨:フットウェア、宝飾品、めがね、バッグ
●コミュニケーション・デザイン
・アイデンティティ&ブランディング:ビジュアル・アイデンティティ、ブランディング計画、環境グラフィック、標識
・インタラクティブ・メディア:デジタル装置、ウェブサイト、CD/DVD ROM、携帯アプリケーション
・パッケージ
・出版:書籍デザイン、雑誌デザイン、年次報告書
・ポスター/販促素材:ダイレクトメール、カード、ポスター
・タイポグラフィ
●プロダクト/工業デザイン
・家庭用品:家庭機器、キッチン機器、照明
・ホームウェア:ホームウェア、ホーム雑貨、キッチンウェア、家具
・ワーク/商業機器:オフィス/ビジネス機器、家具、照明、商業/工業機器
・コンピュータ/通信:コンピュータ機器、周辺機器、PDA、電話
・レジャー/エンタテインメント:スポーツ器具、オーディオ/ビデオ機器、玩具、ゲーム
●環境デザイン
・ホーム:住宅スペース
・商業:作業スペース、小売スペース
・ホスピタリティ/レジャー:ホテル、レストラン、バー、スパ
・文化、公共、展示:公共施設、展示デザイン

応募基準:2008年1月1日から2010年7月31日までの期間中に1カ国以上のアジア市場に商業製品として投入されたデザインが対象。

スケジュール:
●応募締切:2010年7月31日
●第一次審査:2010年8月
●大賞審査:2010年9月
●受賞式典:2010年12月

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日本語 info@mypressroom.net

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