はね、とめ、はらいが躍動
名古屋らしさを表現した「金シャチフォント」がいよいよデビュー

今週土曜日(10月9日)より開幕するNAGOYA DESIGN WEEK 2010。このイベントへの参加企画の1つである「ナゴヤプロジェクト8」にて、「AXIS Font」を制作した鈴木 功さん(タイププロジェクト代表)の手がける“名古屋”をモチーフとした書体が公開されます。

1989年に行った「デザイン都市宣言」以降、この街ではデザインを核とした街づくりや産業振興、大規模なイベント誘致が積極的に展開されてきました。国際デザインセンターとデザイナーがタッグを組み、名古屋の新しいデザイン提案を目的に地域還元プロジェクトとして発足した「ナゴヤプロジェクト8」も、そんな取り組みの一環であり、同時にこの街の魅力をデザインを通じて再発見する試みでもあります。

NAGOYA DESIGN WEEK 2010への出展イベントとして開催される今年は、2つのプロジェクトが会場となるナディアパーク・アトリウムで、10月14日(木)~17日(日)まで披露され、その1つが「金シャチフォント」。鈴木さんと、名古屋を拠点に活動するデザインスタジオ「オープンエンズ」との共同プロジェクトです。

鈴木さんはかねてより、都市ブランディングの観点から、街の魅力や個性を反映した、固有の文字の重要性を提唱してきました。「都市フォント構想」と名づけられたその活動は、同様の試みをすでに導入するベルリンやローマ、ソウルといった海外事例を参考にしながら、「地域性」「一貫性」「公共性」という3つの要素を柱に展開。地元のクリエイターなどとも協議を重ね、文字を通じて街に新たな彩りを与えることが目指されています。

▲「金シャチフォント」ファミリー。ブラックからエクストラライトまで8種類が揃っています。

横浜や仙台でもすでにリサーチを兼ねた勉強会が実施されるなか、レギュラー、ボールド、ヘビーといったファミリーで文字そのものが披露されるのは、今回の名古屋が初です。「はね、とめ、はらい」を筆頭に、文字のディテールの各所に見られる力強い「反り」からは、金の鯱のイメージが伝わってきます。装飾性に富む艶やかさといい、実に名古屋らしい表情を備えたフォントと言えるのではないでしょうか。見事、「金シャチフォント」で出身地に“錦を飾る”こととなった鈴木さん、会期最終日(10月17日 14:00~17:00)には、同郷でもあるグラフィックデザイナーの廣村正彰さんとのトークイベントも予定されており、こちらも見逃せません。

▲「金シャチフォント」の作者であるタイププロジェクト代表の鈴木 功さんは、1967年名古屋生まれ。

ナゴヤプロジェクト8「金シャチフォントプロジェクト展」
会期:2010年10月14日(木)~10月17日(日)※会期中無休
時間:11:00~20:00(最終日のみ19:00まで)
会場ナディアパーク・アトリウム(名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパーク2階)
http://www.cityfont.com/project/nagoya.html
主催株式会社国際デザインセンター
入場料:無料