毎年5月20日を過ぎたころ、東京ビックサイトで「環境展」という大きな展示会が行われます。その名の通り、環境に関するあらゆるジャンルの方々が集結。今年は4日間で15万人を超える来場者がありました。どこの世界にも業界新聞というものがありますが、廃棄物の世界には「循環経済新聞」があります。そして業界誌、その名も「月間廃棄物」!!ストレート勝負です。洒落た名前など必要ありません。この「月間廃棄物」を出している日報ビジネス株式会社が主催しています。
出展社は、環境関連商品を販売している企業、太陽光発電の照明メーカー、屋上緑化の会社、環境関連書籍の出版社などいろいろです。その他、具体的にどんなものがあったかというと……。上の写真をご覧ください。爪です。そう、あの大きな丸太とかを掴む重機の替え爪。
これは、破砕機。大きなものを破砕するやつです。左に見える部分が投入口の刃で、大きな木の根も問題なく粉々にします。ナカダイにも同じ大きさの破砕機があるのですが、名前が良いです。「ライオンシュレッダー」。初めて見ました。そして、ナカダイのより破砕力が強そうなイメージを持ってしまうのは、デザインの力でしょうか……。このデザイン、プロの皆さんにはどう映るのでしょうか。
ちなみに、過去に数度、この展示会で衝動買いをしたことあります。例を挙げると、現在もナカダイで活躍する半自動プレス機。女性でも扱える手軽さとその半端ないプレス力。ビニール袋だけで、150kgの塊にすることができます‼ 素敵ですね~。一目惚れです。その場で買いました。持ち帰りはできないので、お届けで。
この展示会、素晴らしいのはその場で納期と金額が聞けること。「後で見積もりを」なんてあり得ません。毎年来ると、日本の環境機器の移り変わりから、時代が求めるリサイクルやリユースについての傾向を読むことができます。ミラノサローネでは何にもわからないナカダイチームも、環境展ではプロです。ナカダイの社員は新入社員研修を兼ねて、現場の管理者は「あったら便利だな」と思う機械を探しに行きます。新入社員にとっては、会社に機械はあるのが当たり前の世界です。なぜ、その機械を買ったのか?なぜ、その大きさなのか?
一方、ベテランは普段から課題を抱え、より効率よく、より質の高い処理を行うためには、「こんなのあったら便利だな……」と考えることが重要です。1つの機械ではできなくても、組み合わせればできることもあります。同時に、ここで頭に焼き付けておくことで、後でつながる場合もあります。
私がよく言うセリフですが、時代が変われば廃棄物が変わります、廃棄物が変わればリユース、リサイクルの仕方が変わります。つまり、機械も道具も変わります。同じ機械で、同じ道具で、同じやり方で数年続くことがない世界なので、環境展はひじょうに大事な展示会です。
傾向として、実は一昨年まで、環境関連機器はより小型・精密になってきていました。都市鉱山とも言われる日本では、より小まめに、より機械的に希少金属を採るなど、それまでの大きなものを破砕してリサイクルするという流れから、変わってきていたような気がしていました。
昨年は震災があり、その2カ月後の環境展もおとなしいものでした。そして今年、機械は大型化し、移動可能な重機が並んでいました。なんとなくおわかりだとは思いますが、瓦礫対策です。大量の瓦礫、鉄やらコンクリやらガラスやら……。そんなのを破砕するのに小さい機械では役に立ちません。同時に、移動可能であるということ、その場で何でも破砕できるということ、この2つが瓦礫を広域移動せずに、より効率的に処理するには必須です。結果、今回の環境展に展示される機械が必要になります。受け入れ自治体も難航していますが、実際に受け入れを決めても、破砕機がなければ、瓦礫は大きすぎて焼却炉にも入りません。
他の展示会でも見られる光景ですが、商工会や区、市などの単位でブースを出しているところが多い。地方が独自色を出して、勝負しています。ただ、質問しても答えられず、名刺を渡されて「こちらに電話してください」という対応が多かったのが残念。私たちもイベントをやると、人件費がかかるので、アルバイトに任せてしまうときがあるのですが、改めて、説明できないのであれば、出展しないくらいの勢いがなくちゃ、ダメだなと反省しました。
ということで、どの機械を買うか、これから会議して決めてます。次に、皆さんが来社されたときは、新しい機械と出会えるかもしれません。(文/中台澄之)
この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。