捨て方をデザインする方法がわかる
3331 Arts Chiyodaにて「3331素材市」が開催

最近、「捨て方のデザイン」というお題で、いろいろなところで話をさせていただいています。「デザイン」という言葉の意味は広く、どういう考え方や管理方法をするかという仕組みづくりの意味でデザインという言葉を使っています。捨てるモノをデザインするのでも、捨てられたモノをデザインするのでもありません。捨てると言う行為自体をデザインするということです。

ナカダイのマテリアルたちです。これをゴミだと思う人はまずいないと思います。すごくきれいな製品、部品と思うかは別として、少なくともゴミではありません。何よりも大事なのは、そもそもゴミだと思って管理しないこと。普段、捨てるという行為の前に、溜めるという行為が発生しています。ゴミ箱と呼ばれる箱に溜めるのです。

ゴミとして捨てるつもりだから、ゴミ箱に溜めて、いっぱいになって時期が来たら捨てるのであって、「マテリアル」として使うものであれば、箱に入れて溜めます(保管します)。つまり、すべてを保管することはできなくても、捨てようと思ったモノのうち、半分でも、いや少しでも良いから保管しようとすると、写真のようになります。それを各地域でやれば、その地域の素材が集まり、各会社での素材が集まり……と大きな財産になり、ひじょうに面白いと思っています。

10年以上、すべてを保管し、捨てる行為をしない、つまり、ゴミ箱を使わなかった人がいます。藤 浩志さんというアーティストです。おもちゃを使ってつくった彼の作品(上の写真)です。毎度ですが、詳しいプロフィールなどは、各自でお調べください。この藤さん、自宅にゴミ箱がありません。すべて洗って、干して、素材として溜め込み、各地でワークショップをする際の素材として使います。

ゴミではなく素材として保管し、ワークショップや自分の製作に使う。どこかで似たようなセリフ聞いたことありませんか? ナカダイの運営するモノ:ファクトリーの文言と同じです。自称“素材フェチ”の彼は、私にも同じ匂いがすると言います。同類だと言います。私にしてみれば、こんな人が世の中にいたのかという驚きとともに、知識、経験だけではない、彼の強烈なモチベーションの部分に魅力を感じ、瞬間的に意気投合し、何となく時期を探っていたようなものです。そして、今回、満を持して、彼の個展「藤 浩志の美術展 セントラルかえるステーション なぜこんなにおもちゃが集まるのか?」に協力させてもらうことにしました。

彼の持つ莫大なマテリアルと、ナカダイの持つマテリアルを使ったワークショップなども開催しつつ、販売もします。その名も、「3331素材市」。3331 Arts Chiyodaで7月15日~9月9日まで行います。

廃棄物、素材の見せ方として、私が目指してきた一部をここで見ることができます。ナカダイの本工場モノ:ファクトリーは、文字通り現場です。水揚げの漁港です。日々運び込まれるモノを、効率よく、環境を考え、リサイクル、リユース、マテリアルとしてピックアップを繰り返します。そんな市場のような場所を、より都心の方たちにも味わっていただきたい、よりそのままの状態で加工せず旬な状態で届けたい、見せたいと思うとある程度の広さと期間が必要です。今回は、その広さも期間もあります。

3331素材市ではこんな場所(上の写真)も登場します。その時、その場所でしかない出会いの場です。夏休みなので、群馬のモノ:ファクトリーにこーーい‼と言いたいですが、どうしても、時間的に難しい方は、3331素材市でお楽しみください。(文/中台澄之)

この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。