ほぼなんでもつくれる「FabLab(ファブラボ)」は仕事もつくれるのか?

みなさんこんにちは、FabLabJapan/FabLabKamakuraの渡辺ゆうかです。今回のタイトルでもある一言をきっかけに、ファブラボ鎌倉でプロジェクトマネージャーをしており、ファブラボと地域とを緩やかにつなげる活動を展開しています。いろいろな試みが同時進行していて、伝えたいことはたくさんありますが、現在鋭意進行中の4つのプロジェクトを軸に、ファブラボ鎌倉らしさをご紹介できればと思います。

プロジェクト01:週1回の実験工房「結のファブ」

FabLabと呼ばれる施設になるためには一定の標準機材と、少なくとも週1回施設をオープンするという規定があります。「オープン」の定義は各ファブラボの裁量で決められています。鎌倉では毎週金曜日午後1時から5時までに限って、街医者スタイルで「結のファブ」という実験工房を実施しています。当日ファブラボ鎌倉にお越しいただき、黒板予約方式で先着順、1組2時間、1日2組というルールで行なっています。制限はあるものの、一緒につくり方を開拓するための実験日として少しずつ認知されはじめています。

*注意:9/7まで環境整備のため「結のファブ」はお休みしています。日程は随時、公式サイトをご確認ください。

プロジェクト02:「まちぐるみ」による「ものづくり」=FAB TOWN(ファブタウン)

ファブラボ鎌倉の大きなヴィジョンとして掲げているのが、「まちぐるみ」による「ものづくり」= FabTown(ファブタウン)の実現です。鎌倉は、彫刻、木工、金工、染色などいろいろなスキルを持ったクリエイターや、素材を扱う店舗、IT企業が集まる、実に面白いエリアです。ローテクや地域性が醸し出す皮膚感覚の「心地よさ」、そこにウェブやデジタルなどのハイテク技術を融合させていくことで、エリア全体を1つのFabLabに見立てようという構想です。少しずつ賛同者を得て「モノ」で語れるプロジェクトがいくつか立ち上がってきています。

プロジェクト03: FUJIMOCK FES フジモックフェス = 森づくり

21世紀、本格的にユーザーがデータをダウンロードして「ものづくり」できる環境が拡がりはじめています。だからこそ、素材のことをもっと知り、今まで届かなかった領域へ踏み込んでいけるはずです。そこで、日本の森林保全に寄与したいと取り組んでいるのが、FUJIMOCK FES(フジモックフェス)です。これは、実際に富士山麓に出向き伐採体験をして、自分で切り出した木材を持ち帰り、手元で3カ月ほど乾燥させ、ファブラボ鎌倉で加工するという、2拠点時間差連動ワークショップという試みです。ちなみにFUJIROCK(フジロック)とは全く関係がありません。

只今、参加者大募集中です! 男気溢れた若手の木こりの皆さんがお手伝いいたします。一緒に森からはじまるものづくりをしましょう! ふるってご応募くださいFUJIMOCK FESの詳細はこちらです。

04:しごとづくり「FabLabがほぼ何でもつくれのであれば、仕事もつくれますか?」

ご紹介した上記の企画はチャレンジグなのですが、収益を上げるまでにはまだ至っていないのが現状です。本気でファブラボの活動を継続していくためには運営資金を確保していく必要があります。これから各地でファブラボが増えていくためにも「ファブラボで食べている人」の先行事例になることが、私に課せられたミッションの1つです。新しいものづくりの環境や職業領域をつくっていくためにも、事業をきちんと確立させるために取り組んでいますが、どうしても初期費用がかかります。今は、個人の資金により運営されています。そこで一緒にこれからの「つくりかた」を拡げていきたいからこそ、たくさんの人の力を借りて事業の実現ができればと思いました。現在、READYFOR? という、”実行者”を支援する日本初のクラウドファンディングサイトで研究活動費を集める活動を行っています。目標金額に達しない場合は、資金は提供されません。

ぜひ、「つくる」「つかう」「つなげる」これからの「つくりかた」のお手伝いをしていただけませんか。FabLabKamakura支援サイトはこちらです。

長くなりましたが、これからの「つくりかたの未来」のために、引き続きどうぞよろしくお願いします(文/渡辺ゆうか、FabLab Japan)

この連載はFabLab Japanのメンバーの皆さんに、リレー方式で、FabLabとその周辺の話題についてレポートしていただきます。