「Japan Creative Tokyo 2012」は11月4日(日)まで

今年ミラノサローネで発表された一般社団法人ジャパンクリエイティブ(名誉理事・内藤 廣、理事長・廣村正彰)による「Japan Creative」。その東京巡回展が、10月23日(火)に始まった。会場は、西武渋谷店 A館7階。

日本の伝統的なものづくりと海外のデザイナーとのマッチングと聞いて、これまで数限りなく行われてきた同様の試みを思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、会場に足を踏み入れると、展示スペースとしては決して恵まれた環境とは言えないにもかかわらず、その世界観に引き込まれ、この場だけは異なる時間が流れているように感じられる。

▲ ヒノキ工芸×ピーター・マリーゴールド「ベンチ」 Photos by Nacása & Partners(冒頭の写真も)

展示された6つの作品はそれぞれだが、見る人ごとに気になるものがあるのではないだろうか。個人的にはヒノキ工芸とピーター・マリーゴールドによるベンチと、パイオニアとポール・コクセッジによるホーム・ファニシング・アイテム(掛け時計)に関心を持った。

前者は、ヒバ材を割くことで表面に独自の景色を生み出し、座面にはい草を用いたベンチで、シャルロット・ペリアンらが日本滞在時に考案した椅子などを想起させつつも、日本の伝統的なものづくりの新たな側面を引き出している点で興味深い。

会場では、ナカサ&パートナーズによる開発プロセスの写真が壁面を飾り、スライドで投影される。そこで明らかになるのは、6組のマニファクチャーとデザイナーだけでなく、この両者をつなぐ役割を果たした角田陽太、倉本 仁、田渕智也の3名のクリエイターの存在だ。デザイナーでありインハウスで経験を積んだ彼らこそが、このプロジェクトを大きく牽引したのではないかと思えてくる。

同時に、「作品ではなく製品をつくる」というジャパンクリエイティブの思いも強く感じられる。そこには製品化することで、ものづくりの美意識や技術をつないでいくことができる、という考えが潜んでいる。

すでに、及源(おいげん)鋳造×ジャスパー・モリソンの「鍋・キッチンツール」、幸兵衛窯(こうべいがま)×インガ・サンペ「器シリーズ」、ヒノキ工芸×ピーター・マリーゴールド「ベンチ」の製品化が決まったという。6つの作品が個々にどのように進化、発展していくのかにも期待したい。


「Japan Creative Tokyo 2012 -Simple Vision-」

会 期 10月23日(火)〜11月4日(日)
    月〜土:10:00〜21:00 日・祝:10:00〜20:00

会 場 西武渋谷店 A館7階 特設会場

入場料 500円

主 催 一般社団法人ジャパンクリエイティブ西武渋谷店

▲ 西武渋谷店 B館 エントランス