“廃棄物”を言い訳にしないデザイン
「第3回産廃サミット」開催決定

第3回産廃サミットをプラス株式会社の赤坂ショールーム「+PLUS」で行います。9月7日(土)〜9月15日(日)の9日間。例年通り、“廃棄物”を言い訳にしないデザインを募集します。現在作品募集中ですので、奮ってご応募下さい。

今回の産廃サミットは、リマーケティングビジネスというモノの流れを変えるビジネスの可能性を実態に落とし込む、ひじょうに重要な機会と位置付けています。“捨て方のデザイン”は廃棄物を扱うという観点からは良い着地点だと思っています。モノの流れを変えるには、“捨てる”という行為を変えていくことが重要であることは間違いありません。デザイナーズウィークに始まり、西麻布、京都、渋谷、伊香保と工場・市場シリーズを行い、3331ArtsChiyodaでの素材市など、さまざまなイベントやワークショップを行ってきました。

ナカダイは、捨て方をデザインする廃棄物業者を謳ってきましたが、それだけではなく、モノの“使い方”を創造・提案していたということに気づきました。われわれは、“使い方”を創造し、“捨て方”をデザインする会社であり、この仕事は廃棄物処理業ではなく、リマーケティングビジネスであると定義しました。

さまざまな“使い方”を目の当たりにすることで、ヒントが生まれ、結果、自分の“捨てる”という行為を少し考えてみるきっかけになります。ナカダイが目指す廃棄物を使ったビジネスは、実は切り口は“使う”ということが重要で、“捨てる”だけではなかったということです。突き詰めると、価値観の多様化というありきたりの言葉に行きつくような気がします。モノの対価として、“お金=コスト”が主軸であった社会の構造の変化が、廃棄物の世界でも起きています。

今まで、廃棄物業者として、リサイクル、リユースという選択肢の中でしか、処理、加工していなかったものを、別のフィールドにいる“使う人”にさらけ出すチャレンジをしてきました。ここで“使う人”というのはひじょうに大きなキーで、“つくる人”ではありません。もちろん、“つくる人”にも提供しますが……。しかし、“つくる”だけではないところが重要です。モノづくりで経済を牽引してきた日本は、どうしてもつくるという行為を中心にビジネスを考えがちです。もちろん、否定はしませんし、むしろ、中小企業が元気になるには必要なことだと思っています。ところが、“廃棄物をいかに加工して、付加価値の高い商品にするか?”的な話は、逆に自由な発想を妨げてしまう危険もあります。事実、この表現はわかりやすく、メディアの見せ方はこういう表現が多い。

しかし、“使い方”をキーにした付加価値というのは、廃棄物を素材としてとらえ、コミュニティの形成、コミュニケーションツール、ワークショップの材料など、多岐にわたります。他にもたくさんあります。これが、モノの多様な価値であり、ナカダイの目指すリマーケティングビジネスです。廃棄物は、あくまでも手段でしかなく、目的は、“多様な価値観を共有し、自由な発想で社会に貢献する”ことかもしれません。

先日、地元の子供会のリサイクル体験と解体ワークショップを行いました。自分たちの近所の工場で、身近なリサイクルが行われているということに喜んでもらいました。体験時間が終わっても、完全に解体が終わるまで動かない子供たち。集中力抜群です。普段の勉強も同じなのかは不明ですが……。

ナカダイには、工場という最大の武器があります。ナカダイの企業価値は、工場体験、工場見学という武器を使えば上がります。そして、社員のモチベーションも上がり、一石二鳥いや、それ以上の効果がありました。これが、ナカダイのモノの“使い方”です。

では、ナカダイ以外の企業は、その価値を享受できるのか? モノの使い方で価値が生まれるのか? これが、今回の第3回産廃サミットのミッションです。ナカダイだけではなく、工場を持たない企業に、廃棄物=モノという手段で価値を与えられなければ、廃棄物業者の挑戦で終わります。場所は、プラスのショールーム。赤坂という場所で、廃棄物とはかけ離れています。産廃サミットの作品をどう入れ込んで、どう魅せるか。廃棄物を言い訳にしないということに、モノの“使い方”を創造するというキーワードが付きました。まさに、モノの流れを変える“リマーケティングビジネス”そのものの展示です。それを一緒につくっていきましょうというのが産廃サミットです。私たち全員がビジネスアーティストでなくてはならない時代なのかもしれません。(文/中台澄之)

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この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。