産廃業者も「体験」を提供する時代に
『魅せる工場』

ナカダイの前橋支店は群馬県前橋市の約3,000坪の敷地で、さまざまな廃棄物やスクラップを加工する機械、それらのモノを保管する建物、そして、事務所があります。建物の一部に、ナカダイ社員が選んだ“マテリアル”が並ぶ「マテリアルライブラリー」と、それらを使ったさまざまなワークショップができるスペースがあり、作品や家具や雑貨のアウトレット品なども販売しています。これが、モノ:ファクトリーです。

そして、私たちは廃棄物処理場というとてつもない“武器”を持っています。ここに足を踏み入れれば、ほとんどの方は、毛穴が広がり、心拍数が上がり、無言になるか、ひたすらニコニコするかのどちらかになります。

4回目になる工場ハックを7月27日に開催します。3月と7月、年に2回行うこのイベントは、池袋から大型バスをチャーターし、ナカダイの工場を満喫していただきます。上の写真は、満喫のひととき? 木くずの山で仲良くなった子供たちです。池袋駅を8時に出発し、10時~10時半に工場に到着(自家用車で参加の方は直接集合)。それから16時までほぼ6時間、ナカダイ社員は黒子に徹し、参加者の方々のためだけに工場を開放します。なので、通常業務は行いません。

まずは工場見学をして、リサイクルの流れなどを説明します。その後、昼食をはさんで、マテリアルハンティングとリサイクル体験、創るワークショップ、解体ワークショップなど、各自午前中の工場見学で得た情報をもとに、あちこちに散っていきます。ヘルメットをかぶって、工場を徘徊すること自体もそうですが、蛍光灯を破砕するとか、ペットボトルをプレスするとか、発泡スチロールを溶かすとか、普段はあまり、というか、全然やらないことを好きなだけできるので、まさに貴重な体験です。

一番人気は鉄のプレス機。唯一、整理券が配られます。その他、ひたすらパソコンの解体に没頭する人や、掘り出し物や珍しい素材をいじったり、曲げてみたり、回転させたり。なんだこれ?と思ったら、まずは触ってみたくなるのは老若男女問わず共通の行動ですね。中間処理場という馴染みのない場所にたくさんの人が来ていただけることは本当にありがたいことです。見られたり、質問されたりすることで、自分たちの仕事に誇りが持てるようにもなり、社員の意欲向上にもつながります。

今年は、7月、8月だけで、700名近くの予約があります。私たちは期待を裏切らないよう、いや、期待以上の“体験”を持ち帰っていただけるよう努力しなくてはなりません。現在ナカダイが社内で取り組んでいる活動は“魅せる工場化”。事務所と現場の垣根を越え、社員全員で来場されたお客さんを迎えて、ワークショップをしたり、工場を案内したりできるような改革です。いきなり、全社員といっても難しい部分もあるので、まずは女性社員に頑張ってもらいます。

工場見学に来たことのある方は、ナカダイで働くたくさんの女性社員を目にしていると思います。彼女たちの感性を大事に、“魅せる工場”をつくっていきます。そして、皆さんからの意見、要望、協働も募集しています。募集というよりいつでも受付中です。私たちだけではなんとも心もとなく、残念な結果になりそうなので、是非、ご協力をお願いします‼(文/中台澄之)

この連載は株式会社ナカダイ前橋支店支店長・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。