AXIS 165号特集
「21世紀型産学共同のプロトタイプ」

現在発売中のAXIS 165号の特集は「21世紀型産学共同のプロトタイプ」。“産”がテーマを出して、“学”が回答するという従来のやり方や目的を超えて、体制づくりからテーマ設定、プロセスにおいて、今までにない、より革新的な取り組みを行おうとしている事例を紹介しています。

新しい産学連携の状況を耕す
慶應義塾大学環境情報学部「ソーシャル・ファブリケーション・コンソーシアム」

2012年、慶應義塾大学環境情報学部の田中浩也准教授が立ち上げた「ソーシャル・ファブリケーション・コンソーシアム」は、大学、企業、自治体、市民といった立場や垣根を超えて多様な人材が集まり、「対話」と「試作」を繰り返すことで複雑化する社会の問題発見や新しい創造のあり方を模索する活動だ。田中准教授が2010年から展開しているファブラボにまつわる活動や近年注目を集めるフューチャーセンター、インクルーシブデザインやフィールドワークといった施設や技法を組み合わせながら新しいデザイン方法論の確立に挑む。

溢れる創造性で「空き巣」を防ぐ
デザインアカデミー・アイントホーフェンとオランダ検察局

デザインアカデミーのあるアイントホーフェン市では、市の定例会議にこの地域に暮らすデザイナーがカジュアルに参加に、率直な意見を述べる機会を設けている。何事にもオープンなオランダらしい取り組みだが、デザインアカデミーはオランダ検察局と共同で、「空き巣を防ぐクリエイティブなソリューション」というプロジェクトを行った。6月末にその発表会を開くと聞き、アムステルダムの会場を訪れた。

アカデミック、デザイン、インダストリ ーをつなぐ
スイス連邦工科大学ローザンヌ校によるEPFL + ECALラボ

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の主導で2007年に設立されたEPFL+ECALラボ。ECALとは、同じくローザンヌにあるスイス州立ローザンヌ美術大学である。その活動目的は、EPFLをはじめとしたアカデミックな研究機関の成果にデザインを加え、世の中にわかりやすいかたちで最新技術を提供すること。それは2校に止まることなく、世界各地の工科・デザイン大学や企業をも巻き込んでいる。

エコシステムを通じてアクティブな 人材を育成
アアルト大学、ノキア、マイクロソフトの共同プログラム「Appキャンパス」

2012年春、アアルト大学、ノキア、マイクロソフトが計1,800万ユーロを出資し、3年間の期限付きでスタートした「Appキャンパス」。Appがアプリケーションの略である通り、携帯電話のアプリ開発を目的に世界中からアイデアを集め、選ばれたものには最高7万ユーロまでの開発資金を与えるという仕組みである。Appキャンパスの“開校”に伴い、大学側は「オープンイノベーションハウス」を新設。そのワンフロアがプログラムの拠点だ。

最大限の成果を生むために
インテルが進める2タイプのリサーチ

幅広い産学共同研究で知られるインテルだが、同社が行うものには2つのタイプがある。探索型リサーチと焦点型リサーチだ。前者は未来型で、技術の可能性や社会が向かう方法を探索するような研究。一方、後者は今後2〜8年の間に技術的解決が必要となるようなテーマに焦点を当てるもの。そして、このどちらにも共通するのが、最大限の成果を生むための体制づくりである。

「及第点ではない、エッジの効いた提案を」
アッシュコンセプト 名児耶秀美氏インタビュー

デザイナーとの数々のコラボレーションでヒット商品を生み出してきたアッシュコンセプト代表取締役の名児耶秀美氏。2012年より武蔵野美術大学の客員教授も務める氏に産学連携について聞いた。

デザイナーとしての生き方を考える機会
グリーンワークショップ・ヴェントラント

北ドイツの自然豊かなエルベ川流域のヴェントラント地方において、今、中小企業の間で産学連携への関心が高まっている。地方の産業と文化の未来を築くために、デザインを学ぶ若者のクリエイティビティが求められているのだ。大学も存在せず、学生もいない田舎の企業と都市の大学が互いを知り合い、継続的なコラボレーションを実現するのは容易ではないなか、2011年に産学連携プラットフォーム「グリーンワークショップ・ヴェントラント」がスタート。従来、あまりデザインとは結び付かないこの地方で、ドイツでも前例のない果敢な試みが続いている。

国家政策に影響を及ぼす連携
RCAサービスデザイン学科による「サービスデザインサミット

モノのデザインではなくコトのデザインが注目されて久しいが、その影響が社会のさまざまな分野に行き渡っているかと問われると、なかなか厳しいのが実情である。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)は、2012年にサービスデザイン学科を設立。同年10月には首相官邸で大臣や高級官僚を相手に「サービスデザインサミット」を開催し、学生が官僚をファシリテートする「ポリシースクール」を実施した。教授のニック・デ・レオンに聞いた。

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