商品化への道のり
「インテリアライフスタイル展編」

2013年度東京ビジネスデザインアワードで最優秀賞を受賞した小関隆一氏と武州工業、優秀賞を受賞した山田佳一朗氏とラ・ルースは、インテリアライフスタイル展(6月4日〜6月6日)に出展した。

ラ・ルースはデザイナーの山田佳一朗氏と立ち上げたテーブルウェアのブランド「ひきよせ」を発表。製品のプレート・器の展示台には工場から出るプレカットの端材を利用するなど、ディスプレイにもこだわった。相田秀和社長は「山田さんとつくった『ひきよせ』には自信を持っていたので反応は予想通りよかった。今後はプレカットの端材を使った棚や家具などを山田さんと一緒につくっていきたい」とすでに次の製品化計画が進んでいるようだ。

▲ラ・ルースのブース

一方で、武州工業はインテリアライフスタイル展初出展。デザイナー・アートディレクターの小関隆一氏とともに企画開発した初めての自社オリジナル製品「pipegram」を発表した。経営企画チームリーダーの林 英徳氏は「今回のようなデザイナーとの共同開発がなければ中小企業が単体で出展する機会の極めて少ない展示会です。普段、出展している工業・技術系の展示会とはみなさんの製品を見る目の輝きが全然違います」とインテリアライフスタイル展を振り返る。確かに部品を見る目と、自分が欲しいか、買いたいかで判断するコンシューマー製品とでは見方が違う。「これ売りたい!」と思えばプロのバイヤーでも少年のように目を輝かせるものだ。結果、家具、インテリア、雑貨、玩具方面から数多くの来場者があり、すでに有力な販路からの引き合いが何件か届いているという。それもデザイナーの小関氏にとっては織り込みずみ。「新しい製品を理解してもらい、根づかせるには時間が必要です」と、じっくり「pipegram」を育てていく決意を語ってくれた。

▲武州工業のブース

同じく小関氏は、太洋塗料とともに2012年度の東京ビジネスデザインアワードでテーマ賞を受賞した水性塗料「マスキングカラー」の新作も発表。ペンと同じような感覚で使うことができ、塗ったあとは樹脂状に固まりはがすことができる水性塗料だ。はがしたものを再度貼り付けることもできるいままでになかったユニークな塗料。昨年のインテリアライフスタイル展に初出展して大好評を得た製品に、今年はカラーバリエーションにクリア系6色が加わった。クリエイションの幅が増え、ユーザーにとっては楽しみが増える。東京ビジネスデザインアワードでは初年度のみならず、こうした2年目の事業もビジネス展開や知財戦略のアドバイス、助成金の案内等のサポートを継続していく。

▲マスキングカラーのブース

事業化に向けて、大きな一歩を踏み出した企業とデザイナー。今後の展開にも期待したい。(文/長谷川香苗)

Photo by Kaori Nishida

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