2014年総括
「廃棄の現状を伝えるべくしゃべり続けた1年 」

早いものでもう12月。今年もいろいろなことがありました。モノ:ファクトリーを立ち上げてから3年。今年ほど幅広い層の方と仕事をした年はありません。イベントは、ダイバーシティーでのショップで始まり、六本木ヒルズ夏祭りでのドラえもんワークショップ、毎年恒例のハラ・ミュージアムアークでのワークショップと産廃サミット。その他にもたくさんあります。イベントは自分たちがやっていることを象徴的に、わかりやすく見せるために必要なことだと思っています。ただ、それと同じくらい教育や講義、講演などにも力を入れてきました。

社会人の方への朝大学での講義が今年の最初でした。廃棄物の業界には無縁の人々への講座をです。詳しくはこちらを。都会で働く人たちに廃棄の現状を知ってもらい、自分たちなりに解釈してもらうという内容です。次は東京藝術大学で去年に続いて講義。「モノをデザインするのではなく、モノの流れをデザインする」という内容で、モノの話より、気持ちの部分を多く話しました。

モノの背景を知るということは、待っていて教えてもらうのではなく、自らその情報を取りにいく必要があるというような内容です。廃棄物の世界の話は面白いようで、皆さん真剣に聞いてくれました。廃棄物というかマテリアルの写真や工場の様子を、食い入るように見ていました。来年は、前橋の現場でやりたいねと盛り上がっています。

こちらは、岩手県の山田町立豊間根中学校での講演。私も初めて知ったのですが、教育振興運動という、学校、家庭、住民などが総ぐるみで、地域の教育課題の解決に自主的に取り組む岩手県独自の教育運動があります。微々たる災害支援をさせていただいたご縁で、話をする機会をいただきました。講演依頼には「これからの山田町を支えていく有為な人材を育成するために、本校として何ができるかを考えたときに、震災被害を忘れず、これからの防災について考えさせることはもちろん大切なことですが、現在の中学生が社会の中堅として活躍する20年後、30年後の具体的なイメージを持たせ、その中で活躍する自分の姿を想像させる必要があるのではないかと考えました」という一文がありました。もちろん、即お受けしました。他の中学校に行ったことがないのでよくわかりませんが、生徒の挨拶の声の大きさと礼儀正しさがとても印象的な中学校でした。20年後、30年後の将来に希望が持てる話ができたかは不明ですが、皆さん真剣に、保護者の方も一緒に聞いていただきました。

本当にこの仕事をやっていて良かったと思った瞬間でした。将来を担う子供たちにエールを送ることは、ビジネスを行う私たちの責務であり、こういう機会には積極的に関わるべきだと考えています。岩手県は少し遠いし、広いですが、海の幸がおいしいところです。もし、これを読んでいる方で、山田町の若者にエールを送りたいビジネスマンがいらっしゃいましたらご一報を。一緒に盛り上げていきましょう!

そして、同業の方たちへの講演。 廃棄物セミナーです。リマーケティングビジネスを成功させるには、廃棄する人や企業と、それを使うデザイナーや建築家が重要なキーですが、私たちの業界の役割も本当に重要です。業界の方たちと一緒に取り組むことで、イメージを変え、全国の廃棄物処分場が地域に密着した愛される施設として生まれ変わることができると思っています。そのためには、同業の方たちとの交流は本当に重要だと思っています。おかげさまでいくつか問い合わせもあり、少しずつ動き始めています。これこそ継続していきたいと思っています。

さまざまな方面の方と接触し、本当に広がりのある1年だった気がします。そして、この時期は、1年の締めであると同時に、すでに来年度の企画が入り始めています。毎年毎年驚くような新しいことはできませんが、飽きられないように引き続きがんばります。(文/中台澄之)

この連載は株式会社ナカダイ常務取締役・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。