第1回
「いすゞがペダルカー!?」

はじめまして。 いすゞ自動車 デザインセンターで、カラーを担当している前田靖之です。今回から8回にわたって、私たちいすゞ自動車 デザインセンターが取り組んだ「いすゞペダルカー・チャンピオンシップ」という活動について紹介していきます。

このたび私たちデザインセンターのメンバーがペダルカーなるものを製作し、レースまで開催しました。と言っても遊びではなく、かなり本気の大きなプロジェクトなんです。ちなみに、私たちいすゞ自動車は主にトラックやバスといった「はたらくクルマ」を製造・販売している自動車メーカーです。そんなメーカーがなぜペダルカー?と思われるでしょう。まずその背景を説明します。

活動の目的
デザインセンターでは毎年、業務以外に「楽しむ」という大前提の下、「自身のスキルアップ」「職種や世代を超えたコミュニケーションの活性化」「技術の伝承」を目的とした、「ワーキンググループ(以下、WG)」という活動を行っています。これまでも「ワクワクすることを考えるWG」「感動・創造を考えるWG」「手描き図面習得WG」など、若手を中心にデザイナー、モデラー、デジタルモデラーの混合チームを結成し、お互いをライバル視しつつ切磋琢磨して行ってきました。

過去のWGで制作された、トラック「エルフ」の歴代グラフィッククッキー(左)と折り紙をヒントにした照明スツール。

今回紹介する「ペダルカーWG」もその一環で、これまでの集大成として始められたのです。過去最多のメンバーを招集し、1年半をかけて車両作製からプレゼン、レースまで開催。集大成となるほどのハードルの高さに、年齢や職種などに気を使っている暇はありません。とにかくメンバー全員が知識と知恵を搾り出しトライ&エラーを繰り返しました。

「ペダルカーWG」始動!
「今年はペダルカーをつくりたいと思ってね。そしてレースもしたいんだよね」。期初早々スタッフ一同唖然とするなか、丸山部長はうれしそうに説明を続けています。チームは5つ。デザインで4チームつくり、試作部も参加すること。そしてルールは3つ。「駆動方法は人力のみ」「車両は全長2,000mm×全幅900mm内に収まること」「安全性に配慮」。それ以外は自由。「とにかく楽しんで、カッコいいものつくってください」…って! まぁ、こういうサプライズにはみんな慣れてるんですけどね。

これまで以上の波乱万丈が待ち受ける。

ということで、全5チームは早速作業に取りかかりました。まずはペダルカーとはどういうものかという知識づくりからスタート。スケッチ、スケールモデル、3Dデータなどを駆使したボディーのかたちづくりはいつもの仕事のようではかどるのですが……。「俺たちシャシなんてつくったことない!」。今回のWGには“初めて”が満載。そのいちばんがシャシづくりです。幸いにしてラジコンなどで知識を持つメンバーがいたこともあり、各チームからの選抜メンバーで結成する「シャシ設計分科会」が発足。シャシ作製を受け持つ試作チームと共に活動していきました。こうして外観、乗車姿勢、駆動系レイアウトに至るまで、各チームの思想が反映された独創的な車両が生まれていったのです。

WGも中盤に差し掛かるころには各チームの形状が決まり、ボディーとシャシ製作がスタート。ふだんとは違う作業に翻弄されつつも、新鮮で刺激的。フルスケールクレイモデルの作製から樹脂取り、塗装までメンバー全員が仕事ではなかなかできない「もの(クルマ)づくり」を経験しました。並行して進んでいたシャシも続々と完成し、ボディーとシャシを組み合わせたときには安堵と歓喜の声が自然とあがりました。

そんなワクワクしている私たちを見て、「俺もつくりたい!」という衝動を抑えきれなくなった丸山部長率いる精鋭チームも参加。プロジェクト開始から約1年半の歳月を経て、個性溢れる6台のペダルカーがついに完成。2014年11月末、プレゼンテーションとレースの場に現れたのです。

クルマづくりはなんとか完了。でも本当にレースなんてできるのか? 次回は6台のペダルカーたちが繰り広げた、白熱のレースの模様をお伝えします。乞うご期待!!(文/いすゞ自動車 デザインセンター 前田靖之)