ボーネルンド
「あそぶことは生きること。
優しさを持ちながら、しっかりしたメッセージを伝えていくために」

世界20カ国100社からあそび道具を輸入販売している株式会社ボーネルンドでは、2004年からAXISフォントをコーポレートフォントに指定し、同社のデザイン室が手がける印刷物や店内のサインなどに使用している。創業以来約40年間あそびの大切さを伝えてきたボーネルンドにとって「フォントはメッセージを伝える声」だという。同社 企画部 次長の井出武尊さんに話を聞いた。

ボーネルンド 企画部 次長 井出武尊さん

ボーネルンドはどういった会社なのでしょうか。

私たちの事業の柱は3本あります。1つはヨーロッパを中心とした世界中の優れた玩具の輸入と販売。もう1つは室内のあそび場「キドキド」をはじめとするあそびの施設の運営。そしてクライアントからのご要望を受けて行うあそび場の設計と開発です。

子育てをしている層にとって最も認知度が高いのが玩具の販売でしょう。また昨今、遊具と内装を一緒にプロデュースするという引き合いが数多くあります。街中の公園ではできないことが増えるなか、室内で遊べる場所のニーズが高い。例えばクリニックの待合室やカーディーラーのショールームなどでも子供が過ごせる場所がほしいという要望があります。なかにはロゴマークやサイン計画をつくるところまでお手伝いするプロジェクトもあるのです。

当社にはデザイン室があり、遊び場の設計やデザイン、ショップの印刷物やあそびの施設にまつわるビジュアルコミュニケーションのデザイン活動を担っています。一般的にはクリエイティブディレクター、アートディレクター、デザイナーなどに分かれていると思いますが、当社は複数名のデザイナーがさまざまなプロジェクトに関わり横断的に知恵を出し合って、新しいものを生み出していこうという精神で活動しています。

2015年、大阪・天王寺公園にオープンした「ボーネルンド プレイヴィル」。ボーネルンドが運営する施設としては初めて取り組む屋外施設では、水あそび、泥あそび、植物との触れ合いが可能だ。インドアではアトリエゾーンを設けて工作や表現のあそびを用意。

「トットガーデン」は赤ちゃんと保護者のためのあそび場。生後3カ月と6カ月では大きく変わっていくニーズに応え、専用のあそび場をつくった。現在3店舗。

AXISフォントを使用するようになった経緯を教えてください。

2004年に大規模なブランディング活動を行い、そのときにAXISフォントをコーポレートフォントに指定しました。04年は室内あそび場「キドキド」とショップからなる「ボーネルンドあそびのせかい」を展開し、横浜みなとみらいに第1号店をオープンした年です。会社として大きくステップアップするタイミングに自社のブランドを見直したのです。以来、会社のコミュニケーションにまつわる全般、ボーネルンドとして発信していくものは冊子から名刺、封筒に至るまで基本的にAXISフォントを使っています。

保護者に優しく寄り添いながら伝えていきたい

なぜAXISフォントを選んだのでしょう。

当社は創業以来、子供にとって「あそぶことは生きること」を理念として掲げており、子供の健やかな成長に寄与する道具だけを厳選して提供しています。1つの使い方しかできないようなものではなく、子供の想像力や工夫次第でいろいろな使い方ができるか。年齢にあわせて全く違う役割を果たすことができるか。こうした基準を私たちは「プレイバリュー(あそびの価値)」と呼んでいます。

ボーネルンドという社名もデンマーク語の造語(子どものもり)ですし、北欧やヨーロッパのイメージをブランドアイデンティティとして構築しています。そうした背景に見合う書体を探すなかで、ヨーロッパ的な洗練された印象をもっている書体ということでAXISフォントを選定しました。

2004年のブランディング活動の際に全社員に配布した「ブランドブック」と積み木。ボーネルンドとして最初にAXISフォントを使ってまとめた媒体となる。

ブランディングにおいてフォントを重視したのはなぜですか。

当社は直営店を流通チャネルとして持っており、そこにいる人やサービス、ビジュアルコミュニケーション全体によってブランドという1つの“人格”をつくると考えています。そのなかで書体はブランドのメッセージを届ける声のような存在。「子育て」に密接に関わっている企業として、優しさを持ちながらもしっかりしたメッセージを伝えていくためには、スマートかつスタイリッシュで、芯がしっかりしているフォントが理想的でした。

当社はもともと大型の遊具の輸入販売から始まっています。創業当時、日本の公園には鉄製のブランコとすべり台が置かれているだけでした。そこへヨーロッパから大型の遊具を持ってきて提案するため、「これでなければ実現できない価値があるんです」と啓蒙活動に近いことに取り組んでいたようです。当時に比べれば親世代のあそびに対する理解は深まっていますし、「こうすべき」と力強く牽引していくよりはもう少し保護者に優しく寄り添いながら伝えるような存在になってきている。そうした変化もAXISフォントを選んだ要因になったと思います。

ボーネルンドが発行している印刷物の数々。年に3回〜4回発行されるあそびの情報誌「あそびのもり」のほか、新店舗オープンのDM、B to B向けのパンフレットまでさまざま。

ほかにもかわいらしくキャラクタライズされた書体もあったと思うのですが。

確かにこの市場においてAXISフォントをコーポレートフォントに選定しているのは珍しいケースかもしれないですね。実は、当社ではキャラクターものはいっさい扱っていません。なぜかというとキャラクターの中心には大人主導のマーケティングがある。必ずしも子供の生活やあそびのことを考えぬいてつくられているわけではないからです。かわいらしい書体というのはそうしたキャラクターに似ているところがあると感じます。

私たちにとってあそびとは、子供たちが能動的に学び、気づきながら生きていく力を獲得していくための活動のこと。そういうメッセージを伝えたいし、1人の人格者として子供に向き合いたい。ビジネスマンが客先へのプレゼンにかわいらしいフォントを使わないのと同じように、子供に対しても洗練されたものを提供したいと考えます。

ショップやあそび場でも読みやすく

ボーネルンドのショップではどのようにAXISフォントを使っているのでしょうか。

店頭に掲げているコンセプトボード、取り扱いブランドの説明、商品のPOPやプライスカードなど大半の表記にAXISフォントを使っています。私たちは店内や印刷物にしても、伝えるということをとても大事にしています。海外から輸入してきたあそび道具の使い方や背景をきちんと説明し、その商品そのものが持っている価値、込められているつくり手の思い、使い手である子供にとっての価値を理解していただきたいのです。店舗では「インストラクター」と呼ばれるスタッフがその役割を担います。同じように紙媒体やウェブでも、ついつい言いたいことがいっぱいになって小さな文字になってしまうことがあるんです。そうしたときにもAXISフォントは一定以上の読みやすさを実現してくれますし、特に長文を表記する際に威力を発揮すると感じますね。

店内での製品やブランドの説明にもAXISフォントを使用している。

ボーネルンドが運営する室内のあそび施設「キドキド」でもAXISフォントは使われているのでしょうか。

「キドキド」は全国に20店舗あり、私たちはそこで今の子供たちのリアルな姿を常に見ています。そのノウハウを蓄積して、それを別のあそび場に転換したり、新しいものをつくって自分たちのあそび場に戻してみたりと、開発と検証のサイクルを繰り返しているのです。

これらの施設で「このゾーンはこういう場所ですよ」というサインや、あそび方を説明するパネルなどにAXISフォントを使用しています。それらはどちらかというと大人に向けたメッセージなんです。昨今、悲しいことに子供とどう遊んだらよいかわからないという大人が増えています。すると、子供が遊ぶ機会も減ってしまう。そこで大人に子供のあそびの大切さや、楽しいあそびを知ってもらい、子供と一緒に遊んでほしい。ですからパネルには「こんなことをしてみたらどう?」というようなことが書いてあり、親子のコミュニケーションを促すようになっています。

「キドキド」の施設内。壁にはあそびを促すパネルが掲示されている。

統一感とワクワク感のバランス

世界から厳選したあそび道具を「ボーネルンドの商品」として認識してもらうために、グラフィックデザインのうえではどのような工夫をしていますか。

ドイツを代表するようなメーカーからずっと手づくりにこだわっている小さなメーカーまでいろいろな製品を取り扱っており、パッケージを日本語になおすこともありますが、すべてにデザイン的なメスを入れているわけではありません。ですが、それらが「ボーネルンドの商品」に見える努力はしていますし、何より自分たちがそれらを選んできたことに対して誇りと責任を持っています。どこかの国やメーカーに限定せず、子供の成長に必要な機能を世界中探してみて、それでも見つからなければ自分たちでつくる。そのくらい強いアイデンティティを持つ店の内側に入ってみたら、実はいろんな国のものが存在していた、というのが現在のお店の見え方なのかもしれません。

ヨーロッパにはおもちゃ箱をひっくりかえしたような楽しいおもちゃ屋さんがたくさんあります。決して広くはない空間にいろいろなあそび道具がぎっしり並んでいる、そういったワクワク感や楽しさを大事にしたい。私たちの強みはヨーロッパを中心に世界中から厳選していることです。すべての製品を統一パッケージで展開することもできなくはないが、国ごとの特徴や教育に対する考えの違いも両立させたいのです。

ブランドとしてのアイデンティティも大切ですが、デザインによるコントロールをしすぎるとつまらなく単調になってしまう。私たちはあそびの会社ですしね(笑)。そのバランスの取り方が難しく、いつも気をつけています。

ありがとうございました。

外部のクリエイターに印刷物のデザインを発注する際も「あそんでみてください」と同社らしいオーダーをするとのこと。そうしたなか「当社のデザインガイドラインで徹底しているのは書体くらいなんです」と井出さんは話してくれた。色とりどりのおもちゃが並ぶ楽しい店内には決して同社のロゴマークやキーカラーに染められているわけではない。それでもはっきりと「ボーネルンドらしさ」があるのは、印刷物やスタッフによるコミュニケーションに「伝えたい」という想いがしっかりと息づいているからではないだろうか。

株式会社ボーネルンド/1977年の創業以来「あそぶことは生きること」を理念に、世界20カ国から優れたあそび道具を輸入し全国83店舗で販売している。2004年からは親子で遊ぶ機会を増やしてほしいと考え、親子で心と頭と体の全部を使って遊べる室内あそび場「キドキド」も展開。「キドキド」は全国20店舗、幼稚園・保育園・公園などこれまで手がけたあそび場は3万5000以上にものぼる。15年には屋内と屋外施設を組み合わせた「ボーネルンド プレイヴィル 」、赤ちゃんとママのための「トット・ガーデン」など、これからの子供の成長に必要な体験ができる場として、新たなコンセプトの施設をオープンしている。 https://www.bornelund.co.jp

AXISフォントは和文フォントとしてはじめて、EL(エキストラライト)、UL(ウルトラライト)、というウェイト(文字の細さ)を展開しました。ウエィトの充実化とともに、視認性が高くクセがない、明快でスマートな表現を可能にします。

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