REPORT | 見本市・展示会
2017.10.20 10:00
10月11日(水)から13日までの3日間にわたり大阪南港ATCホールで開催されたLIVING & DESIGN 2017。今年は出展者数が153社にもおよび、海外からもアメリカ、イタリア、カナダ、デンマーク、ドイツ、ベルギーの6カ国が参加する充実の内容で幕を閉じた。海外勢を筆頭に新規出展企業が増加し、9度目の開催でますます活気づくLIVING & DESIGNの会場の様子をアクシス編集部の目線で紹介したい。
スペイン発!柔らかい洗面ボウル「ボーイング」
灰一株式会社が取り扱うカラフルな洗面ボウル。スペインでデザインされた今までにないポップな形状と鮮やかな発色が会場で目を引いた。柔らかなウレタン製なので角に当たっても痛くなく、安全性の面から幼稚園などでの導入例も多い。
また、インテリアとして住宅での需要も高まっている。「見せたい洗面ボウル」は玄関に入ってすぐの位置に取り付けるのが人気なのだそう。玄関ですぐ手洗いができるのは衛生的にもいい。カラーバリエーションも豊富なのでインテリアのテーマカラーに合わせて選ぶことが可能だ。
あらゆる照明器具がスピーカーになる MUELIGHT
工業用ファスナーを製造する日東精工が手がけたLED電球スピーカーは大口径50mmフルレンジスピーカーを採用するなど音質を最優先に設計。従来LED電球スピーカーの課題とされていた音割れを大幅に改善した。口径は一般的に普及しているE26を採用。照明器具の電球と交換し、Bluetooth機能を使ってスマートフォンやタブレットから音楽を手軽に楽しむことができる。
職人集団が手がけるオーダー家具 w8w
組織を超えてそれぞれの技術を結集させたTEAM w8wによる展示では、ベルギーから輸入した「MORTEX」と呼ばれる左官塗材を使用してつくった家具が並んだ。見た目はコンクリートのように見えるこの塗材は、耐磨耗性が高くほとんど傷がつかないため床材などにも使用できるという。木製の家具のようにオイルで手入れをすると艶や風合いに深みが加わり、一生ものとして長く付きあえる。
オーダーを受けて家具を製作するほか、さまざまな施工にも応じるとのこと。まだ日本には馴染みのない塗材だが、屋外でも使用できるなど利用範囲はアイデア次第でいくらでも広がりそうだ。
心まで清められる 檜風呂
岐阜で檜風呂を製造している檜創建はアーティストの木戸龍介さんとコラボレーションした作品「清め(KIYOME BATH)」を展示。一見してお風呂と判別できないほど、珍しい卵型をした同作品は会場で異彩を放っていた。
檜創建が誇る高度な技術を駆使し、木を三次曲面にして制作された卵の中に入ると木戸さんが施した彫刻が光に透けて見える。うっすらとした光が卵の内側に散らばる様子は、プラネタリウムのように幻想的だ。この作品は「なぜ檜の浴槽なのか」「なぜお風呂にゆったりと浸かるのがいいのか」という問いかけに対し、身体や心が心地いいと感じる言語化以前の「感覚」をアートで表現できないかと同社代表の小栗幹大さんがコンペを企画したのがはじまりだ。
職人技に見惚れる NEELの照明
盛光SCMが新たに立ち上げたブランド「NEEL」からは、職人が手仕事で行う「ヘラ絞り」という技術をデザインの核とした照明、「ALED」が国内初のお披露目となった。ヘラ絞りの実演では絶妙な力加減であっという間に仕上げていく職人技が注目を集めていた。
ペンダント型からスタンド型まで揃い、スタンド型は充電式のコードレスでテラスなどでの使用を想定している。11月から順次発売予定。
多様化するインテリア産業の未来
LIVING & DESIGN 2017を訪れて、インテリア産業に関わる企業自体がバラエティに富んでいると感じた。海外からの出展や新規出展企業の増加、もともと工業用の部品を中心的に製造していたメーカーが自社ブランドを発表する動きは、リノベーション・DIYをはじめとした一般消費者のインテリアに対する関心の高まりを受けて活発化し、新たなトレンドの誕生を予感させる。
出展者ブース以外にも「新素材10選」「木材を使った家具のデザインコンペ2017」などの特別企画展示があり、コンペ入賞者の表彰式やパネル展示が行われるなど、若手の建築家やデザイナーの活躍を知る貴重な機会ともなった。新たな取り組みも含め、LIVING & DESIGNから今後も目が離せない。