吉岡徳仁によるガラスのプロジェクト。
20年にわたって探求してきた光の世界を展示

▲21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3の前に設置された、長さ4.5メートルの光学ガラスのテーブル「Waterfall」(2005-2006年)。

デザイナーの吉岡徳仁が手がけたガラスのプロジェクトだけを集めた展覧会「吉岡徳仁 光とガラス」が、21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で11月13日まで開かれている。

透明度の高い光学ガラスをプラチナの型で成型したベンチ「Water Block」。このプロジェクトは2002年には始まり、2011年にはパリ・オルセー美術館のリニューアルにあわせ、印象派ギャラリーに10台が設置された。モネ、ルノワールらが探求した光の表現と共鳴するように、吉岡はガラスを通じて独自の光を追い求める。

▲「Water Block」(2002年)

「Water Block – KATANA」は、「光の刀をつくる」というコンセプトから生まれた同シリーズの新作だ。会場では、三角形の無垢のガラスの表面に、色づきはじめた木の葉の色や、空に浮かぶうろこ雲、歩く人々の姿が映り込む。そこへ太陽の光が降り注いでプリズムが発生し、作品の仕上げをするかのように、ギャラリーのそこかしこに柔らかな虹色の影を添える。

▲「Water Block – KATANA」(2017年)。光学ガラスは高温でも溶けにくいプラチナのモールド(型)で成型している。

光を表現する

吉岡はガラス素材に向き合って20年になると言う。「ガラスで何をつくりたいのかと言うと、それは光そのものです。非物質的な光をどのように表現するかに取り組んできました」。

ガラスには繊細ではかないイメージがあるが、吉岡の場合は重厚で力強い印象を与える。時には人を支え、包み込むような建築も手がけてきた。2002年頃から思い描いていたガラスで透明な日本家屋をつくるという考えは、10年もの時を経て「光庵 − ガラスの茶室」として実現した。

吉岡は「茶室をモダナイズするプロジェクトではなく、日本の文化がどのように見出されていったのかを確認するために茶室を選んだのです」と説明する。ガラスの茶室には畳も掛け軸もないが、頭上の空や周りを囲む山々との一体感、そして午後の太陽光によって現れる虹色の「光の花」が、茶道の精神とも言うべき一期一会の空間をつくり出した。

▲京都・将軍塚青龍殿に2015年〜2017年9月まで展示された「光庵 − ガラスの茶室」(デザイン:2011年)

夢を実現するために

本展は、最新作の腕時計ISSEY MIYAKE WATCH PROJECT「Glass Watch」の展示発表も兼ねる。吉岡はその開発のためにセイコーウオッチと15年ほど前から協働しているが、実は、最初に提案したのがこのガラスの腕時計だったという。しかし、当時は技術的に難しく実現には至らなかった。「時を経て新しいアイデアを試すことになり、今回ようやくかたちになりました」。緻密な形状加工と研削技術によって生まれた、いわば、身につける光のオブジェだ。

▲ガラスの腕時計「Glass Watch」(2017年)

現在はプリズムを使った「虹の建築」を構想している。2010年のインスタレーション「Rainbow Church − 虹の教会」を発展させたプロジェクトであり、降り注ぐ自然光によって大規模な虹色の光を出現させるという。

▲「虹の建築」プロジェクトの模型

会場では映像で、新国立競技場の案も紹介。強化ガラスでできた円環状の水盤が宙に浮かんでいるようなプランは、「天井に水があることで冷却効果を生み出し、自然とともに工夫しながら生きるという日本人の考え方をテーマにしています」。

虹の建築も、新国立競技場案も実現のめどは立っていないが、「夢のような取り組みもやっていかないと。こうしたアイデアを思いつくと、興奮して夜中に目覚めてしまうんですよ」と目を輝かせる吉岡。確かに、今は夢のように聞こえるかもしれないが、10年後、20年後のことはわからない。実際、彼はいくつもの夢をかたちにして、世界中の人々を驚かせてきた。

ガラスはいくつもの厳しい工程で鍛えられることによって、ようやく輝きを放つ。同じように、自然の不思議に好奇心を抱き続ける吉岡も数々の試行錯誤を重ね、光の探求を続けていく。End

吉岡徳仁 光とガラス

会期
2017年11月2日(木)〜11月13日(月)10:00〜19:00 *入場無料
会場
21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
主催
セイコーウオッチ株式会社
企画
株式会社吉岡徳仁デザイン事務所/株式会社三宅デザイン事務所
協力
株式会社イッセイ ミヤケ
詳細
https://tokujin-glass.jp/