パナソニックのデザイナー、上海の中心でデザインを叫ぶ

▲無印良品のグローバル旗艦店。中国ならではの盛り目のインテリアは見てのお楽しみ。Photos by Misa Nakata

みなさんこんにちは。パナソニックアプライアンス中国デザインセンターの津田です。今回から数回にわたって、私たちのデザインセンターの、中国ならではの仕事のスタイルについてご紹介していきたいと思います。

まず1回目はオフィスのロケーションについてのお話です。どんなところでデザインしているの?ということなのですが、私たちと同じように「ウチは上海にデザインオフィスがありますヨ!」と言っても、会社によっては空港に降り立ちタクシーに住所を告げると、市街地中心から逆方向にずんずん連れていかれる場合があります。「あの~、いつ上海の高層ビル群が見えますかね?」「いえ、ここも上海ですから」「えーっ?!……」。

一方、私たちのオフィスは本当に上海のど真ん中、目抜き通りである淮海中路(ファイハイジュンル)に面しています。日本でたとえるならば……東京なら表参道から青山、大阪なら御堂筋のような位置づけでしょうか。通りにはブランドショップや高級モールが立ち並び、近くに欧米人が集まるレストランエリアもあります。

▲老房子(ラォファンズ)エリアにある新天地と呼ばれる場所。素敵な店がたくさんで、欧米人も集まってきます。

例えば、地下鉄1駅を挟んでアップルストアが2店舗連続であるのは、もしかしたら淮海中路だけでしょうか? また例えばオフィスから地下鉄で1駅先に無印商品のグローバル旗艦店があります。ここに置かれている商品自体はほとんど日本と同じですが、日本人と中国人の嗜好の違いに合わせて、お店のディスプレイを変えているのがすばらしいと思います。

そして、この通りは若い富裕層が集まる場所でもあります。ファッションや食べ物のお店はもちろん、例えばデザインオフィスの隣のビルには、VIP席だと1日ン万円もするようなクラブがあって、残業して夜に外に出てみると、路肩に乗り付けた超高級欧米車からオシャレな服をまとった若い男女がお店に吸い込まれていきます。明らかに僕より若いのに……、う~んうらやましい。

一歩裏道に入れば老房子(ラォファンズ)と言われる、約100年前に建てられたこじんまりとした家がたくさんあり、そこを改装した小さなカフェやレストランが散在して、センスの良い人たちが欧米人とともに昼も夜もお喋りを楽しんでいたりします。

▲オーガニック野菜を扱うレストラン。上海はトレンドキャッチ力も抜群の街です。

デザインの仕事の場所というのは、ネットが発達した現代ではロケーションに拠らないという考えもあると思います。しかし、私はデザイナー自身が現場で実体感することがいちばん大事だと考えています。特に中国は新しいモノやコトの変化が激しいので、中国の先端の街である上海の、さらに若い感性の人たちが集まる場所に居を構えて、リアルにクリエイション活動を行うことがとても大事だと思うのです。End