「LIVING & DESIGN2018」出展企業インタビュー
貴重な木材を用いたキッチンに注目が集まる【嶋本木工所 編】

これからの住まいと暮らしを提唱する大阪発の国際見本市「LIVING & DESIGN」は2009年からスタートし、今年で10年目を迎える。今年は10月10日(水)〜12日(金)の3日間で開催される。これまでも出展者×来場者、出展者×出展者のつながりによる商談成立の割合の高さを核に、住空間・リノベーション・インテリア産業の拡大の一翼を担ってきた。

2018年は「NEXT FRONTIER-新たな時代へ-」をテーマに技術革新によってもたらされる新たな可能性に焦点を当て、さらにこの先の住まいと暮らしを提案する。アクシス編集部では開催に先駆けて出展企業に取材。第2回はオーダー家具やオーダーキッチンを手がける嶋本木工所(和歌山市)代表取締役の嶋本雅光さんにLIVING & DESIGN 2018への出展の意気込みや事業の可能性について語ってもらった。

▲嶋本木工所 代表の嶋本雅光さん。和歌山市のショールームにて。

ーー例年のLIVING & DESIGNでも嶋本木工所の個性を感じるキッチンの展示は話題ですが、もともとは家具を主に制作されていたのですよね。

そうです。祖父の代からやっている会社ですがもともとは婚礼家具を主につくっていました。大手の家具屋や百貨店などに商品を卸してきましたが、35年ほど前から婚礼家具が下火になってきた。その当時から少しずつオーダー家具・オーダーキッチンの注文を受けるようになり、婚礼家具の制作と並行して受けてきましたが、需要が高まりを受けて、オーダー家具・オーダーキッチンに比重を移してきたという感じです。

2012年からLIVING & DESIGNに出展しているのですが、その時に初めて展示会にオーダー対応型キッチンを出しました。それ以前はテレビボードやダイニングテーブルなどを出していたのですが、キッチンを出しはじめてからブースにたくさんの人が集まるようになったと感じています。

ーーフルオーダーのキッチンが多くの人の注目を集める理由を何だと思われますか?

キッチンが複数の素材や機能を組み合わせることで成り立っているものだからだと思います。素材で言うと、木材もあればステンレス、人工大理石などさまざまな選択肢があります。さらに照明や水栓金具、食洗機などの機器類を組み合わせることで完成していくものです。いろんな要素が絡んでいるんですね。それだけでさまざまな関心を持つ人たちを呼び込むことができます。

そしてキッチンは家において中心的な役割を果たすことが多い。新築の場合、図面ができた時点でまずキッチンを決めないと設備が決まらないので、一番最初に決めることになります。その後にほかの建具や家具、という流れになる。うちはキッチンがご縁になってキッチンからリビングや玄関のオーダー家具まで受けるような良い流れがあります。キッチンに使用している材とリビングボードや建具の材をリンクさせたりすると、部屋全体のインテリアのテイストに一貫性を持たせることができますよね。

ーー嶋本木工所でもリノベーションのオーダーは増えていますか?

新築と比べるとまだ少なく、全体の3割ほどですが、増えています。キッチンの扉だけを変えるお客さんもいる。例えばよく受けるのはリビング側から見えるバックボードの扉の付け替え。これだけで印象をガラッと変えることができます。

リノベーションのオーダーは今後ますます増えていくでしょうね。最近は30代半ばくらいの若い人たちが家を建てる物件にオーダーキッチンを納品する機会があります。その人たちが50代くらいになったときに、ライフスタイルや家族構成の変化で「ガスからIH」、「子供の独立に伴う食洗機のサイズを変更」などのリノベーションが必要になるでしょう。

ーー近年のオーダーではどんな要望が多いですか?

譲れない思いやこだわりがある人たちがわれわれにご相談いただくケースがほとんどなので、十人十色です。ただ、アイランド型は依然として人気で、ワークトップの素材は使い勝手の良さを重要視される傾向が強いです。汚れや傷に強いステンレンスやクォーツストーン、人工大理石などが人気。

一方で、私たちは木目を大切にしていきたいと考えているので、展示会に出品するキッチンには木材を多用しています。無垢の木が多いですね。以前、LIVING & DESIGNで展示したキッチンにはとても貴重なブラジリアンローズを使用しました。人目を引く大胆な木目だったので、「これは絶対関西向き」と思ったけれど、東京の展示会に出品した際には思いの外若い世代の方から大人気でした。今ではワシントン条約で伐採が禁止されたので、もう新たに採ることができない貴重な材です。

▲ブラジリアンローズを使用したオーダー対応型キッチン。

ーー珍しい木材を取り扱われているのも嶋本木工所の特徴ですね。

珍しい木材を持っている材木屋さんとのつながりが深いので、どんなものでも探せます、と言うのがわれわれの強みです。もちろん加工技術やデザインも誇りですが、「いい木だなぁ〜」という視点から商品を気に入ってくださるお客様も多くいらっしゃいます。

▲2017年のLIVING & DESIGNに出店した、希少なカーリーメープルを使用したオーダー対応型キッチン。

LIVING & DESIGNでの出展も7回目になりますが、来場者の方から「去年と違うね」とお声をいただく機会が増えました。「昨年とは異なる、今見せるべきもの」をしっかり考え、見せていくことが重要だと考えています。実は以前、東京での展示会でその前の年に出展したキッチンと同型・色違いを出展した際、お客さんのひとりに「今年は手を抜いたな〜」と言われたことがあってハッとしたという体験をしました(笑)。毎年きちんと見てくれている人がいる、新しいものをつくらなければと思い知らされました。

ーーさまざまなオーダーに対応し、細やかなところまで丁寧に仕上げられるところにも技術の高さを感じます。

オーダーは毎回が新しい挑戦です。過去に似たようなものをつくったことがあるとしても、サイズや材質が違えば同じではない。数を重ねていくことで学び、新しいものをつくり出す技術を高めています。嶋本木工所には自分を含め8名の職人が在籍していますが、若手からベテランまで幅広く活躍している。コンピューター制御の機械は若手がよくわかるし、木目の違いや木の良し悪し、加工技術はベテランの職人が若手に教えるなど、補い合っています。

ベテランから学ぶ機会が多くありつつも、うちは若手にも全行程を任せる方針なので、若い職人にはもっと興味を持ってわれわれのところに来てほしいと思いますね。

ーー今年の展示はどういったキッチンがお披露目されるのでしょうか?

通常のオーダー業務と同時進行でLIVING & DESIGNのために制作しているので、今年もまさに湯気が出ているような出来たての状態をLIVING & DESIGNに出展する感じになりそうです(笑)。家族の団らん風景を意識した空間を提案します。スタイルとしてはすっきりとしたモダンな空間で、キッチンのほか、バックボードや食器棚、ダイニングセットなどと一緒に展示する予定です。

ーー今年の展示を実際に見ることができるのを楽しみにしています。ありがとうございました。(インタビュー・文/編集部・松渕彩子)End

LIVING & DESIGN 2018 開催概要

会期
2018年10月10日(水)〜12日(金)3日間
時間
10:00-18:00(最終日は17:00まで)
ブース
嶋本木工所さんのブースはNo.56です
会場
大阪南港ATCホール(大阪市住之江区南港北2-1-10)
入場料
1,000円
公式HP
http://www.living-and-design.com
主催
LIVING & DESIGN 実行委員会
問い合わせ
LIVING & DESIGN 実行委員会事務局
info@living-and-design.com