建築家グループMVRDVがポーランドの歴史遺産改修デザインを発表
過去を振り返りながら未来を見据える二面性が特徴

オランダの建築家グループMVRDVは、ポーランド西部の第4の都市・ヴロツワフ(Wrocław)にあるスウォドバ(Słodowa)島で、19世紀の遺産建築物の改修デザイン案を発表した。

このデザインでは、現存する建物のファサードを維持しつつ、その背後には現代風の増築を行い、周囲の公園の拠点となることで島への訪問客を引きつけることがねらいだ。

ドイツ軍がこの島を1945年に砲兵基地として使用したため、第二次世界大戦末期にほぼすべての建物が破壊された。現存するこの建物は唯一の歴史の生き証人として知られ、また島の残りの部分は現在、市内の中心にある市民公園としてさまざまなフェスティバルや文化イベントが行われている。

「Concordia Hub」と呼ばれるこの建物のデザインでは、歴史を振り返りながら、建築を未来に受け継ぐように、古代ローマの守護神で変化や時間、二面性を象徴するヤヌスに着想を得ている。歴史あるファサードという「公式的な」面と、公園に面して気取らず現代的、なによりも人を引きつける面というはっきりとした違いがあるのだ。

建物の両端には3層分の吹き抜けから天井が階段状になったスペースがあり、広いエントランスとして機能。既存の建物部分にはレンガ造りが露出したカフェがあり、増築部分には飲食施設を設け、地元アーティストがこの天井を使って壁画やインスタレーションを展示する。

建物にはコワーキング・オフィススペースが入り、最上階には街を一望できる屋外テラスがある。歴史を尊重し未来を見据えることで、価値ある建築物になるにちがいない。End