4万年以上も氷に覆われていた風景が出現
カナダ北極圏の温暖化の影響か

カナダの北極圏では、氷河の後退により4万年以上も氷に覆われていた風景が発見された。コロラド大学ボルダー校の研究者チームの新しい研究によると、同地域はこの115,000年で最も暖かい世紀を迎えようとしているという。

この研究では、放射性炭素年代測定法を用いて、グリーンランド西部・バフィン島(Baffin Island)の30個の氷帽の端で収集された植物の年齢を調査。この島はここ数十年で相当な夏季の温暖化を経験したとのこと。

「北極圏は現在、世界の他の地域と比べて2〜3倍の速さで温暖化しているため、氷河や氷帽の変化も速くなっています」と、同校 Institute of Arctic and Alpine Researchの筆頭著者 Simon Pendleton氏は述べている。

バフィン島は世界で5番目に大きな島で、高地で低起伏の台地で区切られた、深く切り込まれたフィヨルドが大部分を占めている。薄くて冷たい高原の氷はいわば天然の低温貯蔵庫であり、数千年もの間、古代のコケや地衣類はもともとの成長した場所で維持されている。

研究者チームは2018年8月に、異なる氷帽30か所から、さまざまな高度と露出状態の植物サンプル48点を採取。また、景観の年代や氷が覆った経緯をさらに理解するために、各地から石英サンプルも収集。そして、これらの古代植物が全30地点の氷帽で、少なくとも過去4万年間にわたり、たえず氷に覆われていたことを発見した。

そこで、バフィン島とグリーンランドのアイスコアから再構成された気温データと比較すると、この地域では現代がもっとも暖かい世紀で、同島では今後数世紀以内に完全に氷がなくなってしまうことを示唆しているそうだ。End