単純な「同期現象」が複雑化するメカニズムとは?
カリフォルニア工科大学が”同期の制御”を研究

▲Photo by Gabriel Gusmao on Unsplash

ホタルの明滅、心臓の脈動、時計のリズム、そして送電網に共通するものとは、一斉に信号を発しながら自発的に互いに「同期」を行うことである。

何世紀もの間、科学者たちはこうした問題について理論や実験に取り組み、この同期現象についてはよくわかってきたものの、完全に同一の要素からなるネットワークがどのようにして同期しなくなってしまうか、という謎が依然として残っているそうだ。

たとえば、ラインダンスでダンサーが全員同時に足を上げれば「同期」していると言える。しかし、一人置きに隣が足を下ろしているときに足を上げたり、または帽子を振るなどまったく異なる動きをしたらどうなるのか。このとき、単純なネットワークに複雑な状態が生まれているのだ。

カリフォルニア工科大学の研究チームが取り組んでいるのは、こうして単純なネットワークに生じてしまった複雑さに対して、リズムと同期現象を取り戻そうとすることだという。そこで、8つの節(node)がある相互接続するシステムを開発。このとき、この単純なシステムは自発的にさまざまな複雑な状態に発展したのだ。

この研究では、8つの矢印が回転するアニメーションを紹介。ここでは、互いに同期したり複雑になったり、隣の矢印とは同期せずにそのまた隣の矢印とは同期したり(向きは反対になるが)、と複雑な状態が現れる。これは、複数の相互作用が複雑に組織化することから予測できないようなシステムが生まれる「創発」という現象につながる。

他方、このような複雑さを制御できれば、心房細動のような心臓の不規則な拍動に対して、規則正しさを取り戻させる可能性も出てくるかもしれない。ホタルの明滅など、なにげなく「同期」している現象には、まだまだ未知の事柄が多いようだ。End